株式取引を行っていくなかで多くの投資家が願うのが「買った株が値上がりしてほしい」ということでしょう。株価は需給・業績などの要素が複雑に絡み合ったうえで変動していきますが、大きなトレンドを作り出すひとつの原因に「カタリスト」が挙げられます。
■カタリストとは?
カタリスト、とは一体何なのでしょうか?英語ではCatalystと表記され、「触媒」の意味を持ちます。株式投資においては株価の方向性を大きく決定づける材料、と説明することが出来るでしょう。
分かりやすい例で言えば2013年から日本株の大きな上昇の原因となったアベノミクス。それまでの民主党政権で低迷した株価を一気に押し上げたカタリストとなったのがこの金融政策だったわけです。
■カタリストとバリュー株
カタリストは当然個別銘柄でも見ることが出来ます。前述したようにカタリストとは株価が大きく上昇するきっかけのことですから、その会社における好材料(新薬開発や治験成功、業績良化など)が例として挙げられますね。
英語で「Hard Catalyst」「Soft Catalyst」などと使われることもあります。イベントドリブンを引き起こすのがカタリストであると言うことも出来るでしょう。
カタリストが存在する銘柄は少なくはありませんが、その材料が市場に認知され、買いを集めなければ意味はありません。これはバリュー株でも同じことが言えるでしょう。いくら割安であっても、それを評価する人がおらず、価格が上がらないのであればずっと「万年割安」である可能性もあります。
バリュー株が大きな値上がりを見せる例としては、「配当」「業績」など、分かりやすい数字が注目された時があります。そういった値が書かれたIRは多くの人が確認しますし、配当や業績ならほぼ全ての人が理解出来ます。割安な株の魅力が気付かれたとき、はじめてその株の真価が見えるのでは、と思います。バリュー株の株価上昇の材料となり得る、「配当」や「業績」もカタリストの一種であると言えます。色々な会社のファンダメンタルズを調べ、自分で考察を重ねていくことで良銘柄を発見出来るのではないでしょうか。
■カタリストを使い利益を挙げる具体例
これはある銘柄の日足チャートです。上場廃止の一歩手前である「特設市場銘柄への指定」が継続されることが発表されストップ安をつけたものの、その後他社との資本業務提携発表により上場廃止懸念が後退。そして特設市場銘柄の解除を受け、株価は年初来高値をとるまでに上昇しています。
上場廃止の手前まで陥ってしまうなどピンチを迎えるものの、無事復活を遂げたこの会社。
普通ならそのようなきな臭い銘柄は触らない、という方も多いかと思いますが、上場廃止の疑いがかかった後に同社の業務体系や企業動向などを総合的に判断し、最終的に上場廃止になることがない、という予想を立てていれば「上場廃止回避」というカタリストを予想して買いを入れておくことが出来ます。外れれば痛手を伴う判断ですが、それに見合うリターンは得られる投資であると言えるのではないでしょうか。
■カタリストはどうやって見つけるのか?
カタリスト、というとやや難しいかもしれませんが、要は大きな株価上昇の材料を見つけたり予想したりすることがトレーダーにとっては重要になってきます。
株価が大きく上がるということは、それまで注目がされてこなく、急に大量の買いが入ってきたということ。
有名な株式用語に「人の行く裏に道あり花の山」という言葉がありますが、周りの人があまり見ていないところにこそカタリストは潜んでいるのだと思います。普通の人より幅広い情報収集をして新たな視点を見つけていく、これこそが大きな利益を掴むひとつの方法であると言えるでしょう。