相場の器用貧乏

■「相場の器用貧乏」とは

「相場の器用貧乏」とは、相場に出回る様々な最新の情報を捉えては売買を繰り返したり、様々な投資手法を試したりしては小幅な利益を上げるけれども、どこかのタイミングで大失敗し、それまで少しずつ貯め込んできた利益を全て吐き出してしまうような投資家のことを指します。もともと器用貧乏とは様々なことを要領よくそれなりにこなしてくれますが、どの能力も中途半端で終わってしまい、どの分野でもその道のスペシャリストには敵わないため、結局は一流にはなれないような人のことを指します。「相場の器用貧乏」とはまさにその器用貧乏の投資版と考えれば分かりやすいでしょう。

■「相場の器用貧乏」の問題点

この「相場の器用貧乏」の問題点は、相場の短期的な動向を読むことは非常に難しいということです。例えば、株価であれば、長期的な株価を左右するのはその企業の競争力です。ある企業がライバル企業よりも優れた競争力を持っていれば短期的には株価は上下するかもしれませんが、5年、10年といった長期のスパンで見れば上昇していく可能性が高いといえるでしょう。しかし、短期的な株価は企業の競争力と無関係に動くことが多々あり、またその短期的な動きには為替動向や経済政策、その企業に関するニュース、一部の大株主による気まぐれの売買など様々な要因が絡んできます。こうした複雑に絡み合う要因を全て理解し、短期的な株価の変動を完全に読み切ることは非常に難しいといえるでしょう。そのため、最新の情報を用いて、その時々にあった様々な投資手法を用いることで器用に投資をこなしていたつもりが、予測を間違えて大きな損失をいつか出してしまうことになります。このように「相場の器用貧乏」になっている人は小銭は稼げるが、大金を手にすることはできず、常に大きな損失を被る可能性を秘めているといえるのです。

■「相場の器用貧乏」に陥らないためには

こうした「相場の器用貧乏」にならないようにするためには、何らかのスペシャリストになることを目指すことが重要でしょう。それには二つの方向性があります。一つは、長期投資のスペシャリストになる、ということです。「相場の器用貧乏」の問題点は長期ではなく短期的な投資を行うことであったため、短期的なニュースに踊らされるのではなく、より企業の本質的な価値を見抜くことが出来るような目を養い、腰を落ち着けて投資を行うスペシャリストになれば、「相場の器用貧乏」にならずに済みます。かの投資の神様ウォーレン・バフェット氏はこうした長期投資で世界でも有数の資産家になったことは有名です。こうした方法を模索するというのが一つの方向性でしょう。
もう一つの方向性はあえて短期投資のスペシャリストになる、という道を選ぶことです。投資の世界ではテクニカル分析という過去の相場の変動から直近の相場の動向を推測するという投資手法で利益を出している人たちもいます。様々な投資手法を実行していくのではなく、テクニカル分析のスペシャリストとなり、予測が難しいとされる短期的な相場での予測の精度を高めていく、というのも一つの手です。

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