株式投資は始めるのにはややハードルがありますが、始めてしまえば非常にシンプルなものです。
ネット証券が成長し、パソコンやスマートフォンを通してボタンのクリックひとつで売買ができる時代となっているのもその大きな理由でしょう。
「買い」「売り」たったこの2つを行うのが株式投資ですが、その単純さにこそ深みがあると言えるのではないでしょうか。
■「仕掛けはたやすく、手じまいは難し」
相場格言である「仕掛けはたやすく、手じまいは難し」は買いより売りの方が難しい、ということを意味しています。
買うときには当然「ここで買うから利益が見込める」という意識のもと買うことが多いですから、そこまで心理的負担はありません。
しかし売る際には「もっと上がるんじゃないか」「含み損になってしまっているが損切りしなければ戻るんじゃないか」といったような感情が取引の邪魔をしてきます。
株式取引の鉄則の一つに「損小利大」というものがあります。
損失は出来るだけ小さく、利益は出来るだけ大きく伸ばせ、という意味のものですね。
しかし実際には売買の際に人間の心理学的側面が影響し、「損大利小」になってしまうことが多いのです。
損失が少し出たうちは「しばらくすれば戻るだろう」として損切りせず、損が大きくなってくるに連れてその損に感情が耐えられなくなり大きなロスカット。
利益が出るとそれが無くなってしまうのを嫌い少額で利益確定してしまう…という性質が人間にはあるのです。
そういった人間の本能を踏まえたうえでも、「仕掛けはたやすく、手じまいは難し」というのは事実であると言えるでしょう。
■手じまいが難しいパターン
「仕掛けはたやすく、手じまいは難し」と言いますが、実際にどんな場合に手じまいは難しくなるのでしょうか。
株価の値動きというのは銘柄によって異なりますが、特に売買のタイミングを注視したいのは値動きの激しい銘柄です。
値上がりランキングに掲載されているものや、IPO銘柄などがそれに当てはまりますね。
例えば上のようなチャートがその一例として挙げられるでしょう。
「勢いがいいから上がりそう」と思って買いを入れ、含み益が出たとしても利益確定のタイミングを誤ってしまえば高値掴みになりかねません。
特にこの株のような株価が安めの低位株は上手くいけば大きな利益を狙うことも出来ますが、その分非常に難易度が高いと言えます。
これはあるIPO銘柄のチャートです。
しばらくの間上昇トレンドになっており、安いところで上手く買えていればよいのですが、一日の値動きが非常に激しいという特徴があり、上がった次の日には前日比-7%ほどの下げを見せることも少なくありません。
また頭打ちになった後の下げも非常に早く、逃げ遅れてしまうと大きな痛手を被ることになりえます。
IPO銘柄、特に新興市場の低時価総額のものには板が薄く値が動きやすいものもあるので、手じまいだけではなく仕掛けにも注意が必要です。
■「損小利大」を出来るようにするためには
損を小さく、利益を大きく――そんな損小利大のトレードが出来るようになるために、まずは取引をする前にしっかりとプランを立てておくことが重要です。
どこで利益確定を行い、どこで損切りを行うかを先に決めておくというのがプランの内容です。
特に慣れないうちは値動きに感情が翻弄されてしまい、どこで利益確定・損切りを行うのかが曖昧になってしまうことも多いと思います。
その場合には指値・逆指値注文を使い機械的にポジションを切れるようにしておくのがオススメです。
当然いい位置で売買出来なかった…ということもあると思いますが、その反省を次に活かし、段々とトレードの質を高めていけばよいのです。
長い間相場を観察し続けると、色々なチャートの値動きから大体の株価の値幅メドが意識できるようになります。
そういった統計的なデータに基づく感覚を基に買いと売りのタイミングの精度を上げていくこと、それが生き残っていくために大事なことです。