株で儲ける方法には、株式売却による「キャピタルゲイン」、配当や優待を得る「インカムゲイン」の2つが存在します。
インカムゲインというと配当のイメージが強い方もいるかもしれませんが、「貸株」による利益もそのひとつです。
■貸株とは
貸株とは読んで字のごとく「株を貸す」というシステムです。
自分が保持している株式を証券会社に貸し出すことで、貸出金利を得ることが出来ます。
更にこの株を証券会社が機関投資家などに貸し出すことにより、株不足が起きることを避けるために使われます。
貸出金利は最低でも0.1%程度に設定しているところが多く、銘柄によっては年率20%というものも存在します。
またこの貸出金利は定期的に見直されることが多く、週次、月次といった短期間で変動させている証券会社が多くなっています。
■貸株のしくみ
そもそもなぜ貸株という制度が存在するのでしょうか?
「貸株」と聞いて、株の空売り(ショート)をイメージする方は多いでしょう。空売りは実質的には株を借りて行っているため、空売りが多くなっていくと「借りる」ための株が少なくなってしまいます。
そういったことを防ぐために貸株を行い、証券会社が個人投資家から株を借り、更にそれを機関投資家に貸し出すことで株不足を避ける目的があるのです。
個人の空売りも証券会社から株を借りて行いますが、証券会社で貸せる株がなくなると空売りをすることが不可能になります。
このように空売りが不可能になった状態を「売り禁」と言いますが、急にこの状態になることはなく、一般に次のような段階を踏んで売り禁状態は形成されます。
■貸株をするにはどんな銘柄が向いているのか?
さて、貸株をするにはどんな銘柄が向いているのでしょうか?
貸株金利だけを見ると20%という高金利のものも存在しますが、そういった銘柄の特徴は「貸株として調達されやすい = 空売りされやすい」という点があります。
空売りされやすい、ということは潜在的な売り需要が強く、株価が順調に上がりにくい、という側面を持っています。
そのため高貸出金利だから…といった理由で株式を購入し、貸株とするのはやや安易な考え方すぎるのではないか、と思います。
貸株に向いているものには、長期保有をしている銘柄が一例として挙げられるでしょう。
証券会社においては設定を行うことで貸出金利を得ながら株主優待や実質的な配当金を受け取れるところも存在します。
貸株自体は比較的簡単に行うことが出来るので、気になった方はチェックしてみるとよいのではないでしょうか。
■貸株のリスクとは
貸株も投資ですので、当然リスクは存在します。
各証券会社のページにも記載されていますが、いくつかの注意点をピックアップして見ていきましょう。
・貸株を信用取引の担保とすることができない
・貸出金利や配当金相当額は雑所得として課税の対象になる
・株券の引き渡しが予定通りに行われないという信用リスク
貸株を行おうと思った場合には、そのリスクにも注意しておきたいですね。