値幅制限上限

株式取引を行っている方なら、一度は「ストップ高」「ストップ安」と言う言葉を目にしたことがあるのではないでしょうか。

株価がそれ以上の値幅をつけられない、というのがその状態で、銘柄には必ず「値幅制限上限」というものが存在するためです。

■値幅制限上限とは何か?

まず、日本の株式の場合、値幅制限上限は基本的に次のようになっています。

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10000円以上にも当然値幅制限上限はありますが、そういった株がストップ高・ストップ安をつけるケースは稀であるため、一般的とされるもののみを掲載しています。

この制度があることにより、株価の暴騰・暴落を一定範囲内に抑えることが出来るようになっています。

ストップ高・ストップ安になった銘柄では、買いと売りの板の枚数が一致せず需給があわないため、その状態で株価は止まることになります。

場中に買い売りの板の枚数が一致すれば再び売買が成立しますが、引けまで成立しなかった場合は「比例配分」というもので売買が行われます。

各証券会社において株式が割り当てられ、少ない枚数のみ引けの時間に取引が約定します。

この値幅制限は2010年の大発会より適応されたものであるため、制度変更以前の数値と比較すると相違点もあるので注意してください。2010年はこの値幅制限と同時に、東証に新しい取引システム「アローヘッド」が導入された年でもあり、これにあわせ値幅制限がよりフレキシブルなものへと変動しました。

ニューヨーク証券取引所のように値幅制限が存在しない市場にあわせ、海外投資家の日本市場への参加をうながしている、という狙いもあったと考えられています。

■値幅制限上限の特例

値幅制限上限は通常上のようになっていますが、中にはいくつか例外も存在します。

●値幅制限の拡大
3営業日連続で場中に売買が成立せず、ストップ高、またはストップ安であった場合には値幅制限が拡大されます。

ストップ高が3営業日の場合は上限が2倍、ストップ安が3営業日の場合は下限が2倍、といったかたちです。

例えばある会社においてその企業価値を著しく下げるような事が起こった場合などに連続ストップ安、ということが起きうるわけですが、そのような状況は適正株価がかなり下にあることを意味しているため、値幅制限の拡大が起きるわけです。

値幅制限の拡大が起きた日は、その値動きの激しさを狙って取引をするトレーダーもその銘柄に集まり大きな出来高がこなされることが多いです。

●IPO銘柄における制限値幅
新規上場銘柄(IPO)における制限値幅は一般的なルールとは異なり、上限は公募価格の4倍、下限は公募価格の1/4となっています。

IPO銘柄は企業業績面で値がつくというよりは、その会社のネームバリューや需給によって株価が決定しやすく、また上場初日は値動きがとても激しいのが特徴です。

人気のあるIPO銘柄の場合は初日に値がつかず、気配を切り上げていくだけのこともありますが、その場合はその日の最終気配の4倍、1/4倍が翌日の制限値幅となります。

■値幅制限上限を意識したトレードのコツ

株式取引をする上で基本的なルールとなっている値幅制限ですが、これを意識して株価の動きを予想するコツがあります。

株価というのは大きな動きによって上下し、最終的な価格も買いに資金が入ったか、それとも売りに資金が入ったかで決まるわけです。

そういったうえで「値動きの操作をしやすい」株価は、資金力の大きい機関投資家・仕手筋によってコントロールされる、というケースがあります。

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上の図は基準株価・制限値幅・最大騰落率を表した表ですが、数10%でストップ高まで「持っていける」水準の株価があります。

特に少ない資金力で株価を動かしやすい200~1000円というところでストップ高を繰り返す銘柄が多いのはそのためです。

こういったことを頭に置いておくと、例えば上のような株価圏でストップ高となった銘柄の勢いを見て「翌日もストップ高となるのでは」という予想を立てることが出来ます。

もうひとつ重要なのが、1000円~1500円未満のときの制限値幅が±300円、最大騰落率が30.0%~20.0%という点です。

1000円までは勢いをつけストップ高をつけてきた銘柄でも、ここに来ると失速するケースが多く見られます。

その理由は上に書いた通り、株価が上がってきており、騰落率の割合が高いため相場をコントロールする大口にもより多くの資金力が必要とされることが挙げられます。

逆に言えばここで売りが入ってきても上がっていく銘柄の勢いは本物であると言えるでしょう。

例えば900円の銘柄が制限値幅+150円となる1050円のストップ高で引けた場合、翌日は750~1350円というように値幅がかなり拡大するわけです。

値幅が拡大すれば当然その間の売り買いの枚数も増えるため、そう簡単に連続ストップ高とはならないということです。

値幅制限上限を意識してトレードを行うことで、インのタイミングを磨くことが出来るようになるのではないでしょうか。

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