株式取引を行っていくうえで、重要となる考え方のひとつが「取引の時間軸」であると言うことが出来るでしょう。
たとえば株を購入するとして、その銘柄をどれくらいの期間保持し、そしていつ頃売るのか、ということは売買手法を確立するうえでも大事なことです。
今回はそんな取引の時間軸の中でも最も短期間とされる「スキャルピング」という手法について見ていきます。
■スキャルピングとは何か?
先に書いたように、トレードにおいては様々な取引の時間軸が存在します。
長期投資、デイトレード…人や手法によってそれは異なりますが、その中でも最短の時間で利ざやを狙うのがスキャルピングです。
短いときは数秒、長くても数分以内という極端に短い時間で売買を行うスキャルピングは、値動きの激しい銘柄を扱う際に適している手法であると言うことが出来るでしょう。
■スキャルピングの取引例
チャートを例に、スキャルピングの実例を見てみましょう。
次の画像は、ある銘柄の2日分の5分足チャートです。
チャートから分かる結果として、前日ストップ高となったこの銘柄は、翌日に前日終値近くで寄った後に、その後もみあって再びストップ高をつけています。
前日ストップ高をつけた銘柄は、「更に上がるのではないか」という思惑から取引を行うトレーダーも存在し、人気と需給が相まって値幅を形成しやすくなることが多々。
それにより流動性が上がるため、その値動きを見てスキャルピングを行う、というのが一つの実例であると言えるでしょう。
逆に言うと、多くの東証一部企業のような時価総額が大きめ、かつ一日の値動きが小さい銘柄はスキャルピングにはあまり向いていません。
利益を出せたとしても、上記チャートに挙げた銘柄等と比べると利幅をとりにくいからです。
スキャルピングを手数料込で考えると、当然それを踏まえた利益を出す必要があるので、利幅と手数料の関係は重要であると言えます。
「信用取引の手数料無料」をうたった証券会社のサービスもありますので、株式取引でスキャルピングを行う場合はそういった制度の使用も考えたいところです。
■スキャルピングが向いている銘柄は?
先にも少し書いたように、スキャルピングが向いている銘柄の一例は「値動き・出来高のある銘柄」であると言えます。
そういったことを考えれば、例えば日銀会合の金融政策が場中に発表される場合などはスキャルピングに適した地合い、とすることが出来るのではないでしょうか。
その政策発表を受け、機関投資家、個人投資家がその瞬間に売買を入れることが考えられるためです。
スキャルピングはファンダメンタルズを重視する、というよりは値動きや需給を重視するトレードであり、そのために重要なことは「どうやったら他のトレーダーにより高値で売りつけられるか」という思考をしておくことと言えます。
値動きだけを見てトレードを行うと、やや感情的な売買をしてしまう場合もありますが、そういった時こそ冷静になり、ルールに忠実な売買を行うよう心掛けるべきです。
■スキャルピングを行う上で知っておきたい認識とは
スキャルピングをするうえで大事なのが、「ロスカットと利益確定のタイミング」です。
これはどんなトレードにおいても重要なポイントですが、値幅が激しい銘柄を取引することが多いスキャルピングではより重きにおいておきたい点であると言えます。
スキャルピングをすると決めたのなら、ロスカット水準になったらすぐ切ることが必要。取引の時間軸を長くして保有することはあまりお勧めできません。
次に知っておきたいのが、スキャルピングに適した時間帯を知ることです。
もう一度さきに掲載したチャートを見てみましょう。
スキャルピングを行うのに適している時間は「前場」、もっと言えば「9:00(寄付き)から10:30までの間」です。
この時間帯は多くの銘柄で出来高が大きくなる時間帯で、後場にいけばいくほど出来高が細るケースが多いためです。
(当然例外はありますが)スキャルピングだけでなく、短期トレードを行う場合はこの時間帯が取引に向いている、ということは頭に置いておきましょう。
最後に重要なのが、スキャルピングをする上で何を見るか?ということです。
先述した通り、スキャルピングで大事なのは値動き、そして需給。それを感じとるために大事なのが「板」と「歩み値」です。
板を見るとこれからどんな売買が起きそうなのか、歩み値を見ると直前でどんな売買があったのか、ということを知ることが可能となっており、まずはこれらを観察することによって相場観を身につけたいところ。
いずれにせよ一朝一夕でトレードで取引手法を完成させることは難しく、スキャルピングにおいても取引のルールを徹底することは確実に必要でしょう。