■名義書換とは
名義書換とは、株主名簿に記載されている株主の名義を変更することを指します。企業は自社の株主が誰なのかを把握するために、株主名簿というのを作っています。その株主名簿に記載された株主に対して、議決権の行使を認めたり、配当金や株主優待の提供を行ったりしています。
そのため、例えば、株式の売買が行われた場合、株を売却して株主ではなくなった人の名前を株主名簿から削除し、また逆に株を購入して新たに株主となった人の名前を株主名簿に追加する必要があります。
こうした株式名簿に記載されている株主の名義を変更することを名義書換といいます。
■通常の株取引ではほとんどの場合名義替え代は必要なし
現在では証券会社を通じた通常の株式の取引きの場合、「株式等振替制度」という制度が用いられており、自動的に名義書換を行ってくれるため手数料はかかりません。
しかしながら、信用取引を行い、買い建玉を権利付き最終日と権利落ち日をまたいで保有している場合には、1単元あたり50円(税抜き)がかかる場合もあります。
■相続や譲渡の場合には証券会社に手続きを依頼
相続や譲渡によって新たに株主になった場合は、証券会社等に依頼をして名義書換を行ってもらう必要があります。
先述したように、企業は株主名簿に基づいて議決権の付与や、配当金・株主優待の提供を行っているため、名義書換を行っておらず、株主名簿に自分の名前が載っていないと、せっかく株主になったのに何ら恩恵を受けることができなくなってしまいます。
そのため、通常の売買以外で株を入手した場合には、証券会社に連絡をして名義書換をしてもらうようにしましょう。
■配当・株主優待をもらうためには早めの名義書換を
配当や株主優待を受け取るためには各企業が設定している「権利確定日」に株主名簿に載っている必要があります。また、株を購入してから名義書換が行われ、株主名簿に名前が記載されるようになるには2営業日かかります。
そのため、配当や株主優待を受け取るためには権利確定日に株を買っていては遅く、その3営業日前には買っておく必要があります。例えば、権利確定日が3月31日の月曜日の場合、その前の土日は非営業日なので、3営業日前は26日の水曜日ということになります。配当や株主優待を狙う場合には、こうした名義書換の時間も考えて株を購入する必要があります。
また、相続や譲渡の場合、通常の株式の売買のようにスムーズに名義書換が進むとは限らないことに注意が必要です。
例えば、相続の場合、共同相続人の同意者や、戸籍謄本などを証券会社に提出し、それらの審査を経る必要があります。証券会社によってはそうした書類が正しいものかを審査し、手続きをし終わるまでに2~3週間ほどかかる場合があります。
そのため、株を相続した場合や、譲渡された場合には、早めに手続きを行い、配当や株主優待を逃さず受け取ることができるようにしましょう。