資金量に応じた戦略を考える

突然ですが「運用資金はどれぐらいありますか?」

数万円~数億円、様々な方がいるでしょう。

資産を増やすには資金量に応じた戦略が不可欠です。

数億円保有している投資家であれば、低リスクな戦略が求められます。

リターンばかり追いかけては、破綻してしまうからです。

反対に資金が数万円しかないのに、リスクばかり恐れていると資産が伸びていきません。

資金量によって取るべき戦略は異なるわけです。

【~10万円の戦略】

資金10万円以下では、なりふり構わず”勝負”にいくべきでしょう。

資金量に対して手数料が割高となり、コツコツ増やすことは難しいのです。

それに、失敗しても最大で10万円しか失いません。

「低リスク・低リターン」よりも「高リスク・高リターン」な投資法を選択します。

銘柄選びはたくさん買うことのできる《低位株》が狙い目です。

《ボラティリティ》よりもロットを優先させます。

例1.

A銘柄:株価900円

→最低購入金額は9万円で、資金10万円だと100株買える

B銘柄:株価90円

→最低購入金額は9千円で、資金10万円だと1,100株買える

A銘柄とB銘柄ではB銘柄を選びましょう。

B銘柄は株価1円の上昇につき、1,100円の利益が得られます。

A銘柄だと1,100円の利益を得るために、株価11円の上昇が必要です。

加えて《値幅制限》にも注目します。

「株価1円~99円は上下30円」

「株価700円~999円は上下150円」

例2.

A銘柄:株価900円

→ストップ高:1,050円、ストップ安:750円

最大損益=15,000円

B銘柄:株価90円

→ストップ高:120円、ストップ安:60円

最大損益=30,000円

B銘柄の方が最大損益が大きいです。

つまり「高リスク・高リターン」なわけです。

取引の時間軸についても考えていきましょう。

以下5つの手法があります。

  • スキャルピング
  • デイトレード
  • スイングトレード
  • ポジショントレード
  • 長期投資

スキャルピングの場合

《スキャルピング》は数秒~数分で決済する手法です。

小さな利益を積み重ねて資金を回転させるのが特徴です。

取引回数は多くなります。

手数料がかさむため、資金10万円以下で《スキャルピング》は不向きでしょう。

デイトレードの場合

《デイトレード》は数分~数時間で決済する手法です。

《スキャルピング》よりトレード1回当たりの利益は大きくなりますが、資金10万円以下では依然厳しいと言わざるを得ません。

スイングトレードの場合

《スイングトレード》は数日間で決済する手法です。

短期売買の中では最も利益が大きく、万単位の利益が見込めます。

資金10万円以下の運用に対して、適した時間軸と言えるでしょう。

ポジショントレードの場合

《ポジショントレード》は数週間~数ヶ月で決済する手法です。

《スイングトレード》よりも更に大きな利益が期待できます。

時間に余裕があれば《ポジショントレード》もありだと考えます。

長期投資の場合

《長期投資》は数年単位で決済する手法です。

最も大きな利益を望め、手数料も最小限に抑えることができます。

ただし、《ファンダメンタル分析》の腕が求められるでしょう。

5つの手法を比べると、資金10万円以下の運用であれば《スイングトレード》が稼げそうです。

時間に余裕があって、《ファンダメンタル分析》に自信があれば、《ポジショントレード》や《長期投資》を選択してもよいでしょう。

【30万円~100万円の戦略】

資金が30万円あっても、まだまだ少ないと言わざるを得ません。

それでも資金10万円以下と比べれば、戦略の幅が格段に広がります。

  1. 購入できる銘柄が増える
  2. 信用取引ができる

なんといっても購入できる銘柄が増えます。

《低位株》以外にも投資チャンスが巡ってくるわけです。

そして資金30万円あると《信用取引》ができる、これが大きなポイントです。

信用取引のメリット

  1. 手数料が安い
  2. 手持ち資産の3倍まで取引できる
  3. 回転売買ができる
  4. 空売りができる

《現物取引》と比べて《信用取引》は手数料が格安です。

手数料が500円→100円になるだけで、全く風景が違ってみえます。

更に、手持ち資産の3倍まで取引できます。

例3.

資産:30万円

→90万円分の取引が可能

まだまだメリットがあります。

《現物取引》では《差金決済》により禁じられていますが、《信用取引》は同一資金で同じ銘柄を何度も取引できます。

これを「回転売買」といいます。

利益確定した後、”チャンスあり”と思えば再び仕掛けられるわけです。

他に《空売り》ができます。

《空売り》は株価の下落局面で利益が得られる手法です。

《空売り》を使いこなして、上昇と下落を両取りできれば”敵なし”というわけです。

続いて取引の時間軸はどこが最適か考えていきます。

スキャルピングの場合

《信用取引》ならば手数料を大幅に抑えられます。

資金30万円からは《スキャルピング》も大いに考えられるでしょう。

デイトレードの場合

《スキャルピング》同様、一策です。

《空売り》も積極的に活用していきましょう。

スイングトレードの場合

翌日の《ギャップダウン》を見込んで、売り建てのオーバーナイトが可能です。

ポジショントレードの場合

資金が10万円以下のときと違い、《値嵩株》が買えます。

《低位株》と比べ、《値嵩株》は”優良株”と呼ばれる業績好調な銘柄が多いです。

堅調な”優良株”に投資するのであれば、時間軸の長い手法においても安定した成績が出せるでしょう。

長期投資の場合

資金30万円からは、《空売り》によって《両建て売買》が行えます。

保有期間が長くなれば、情勢不安によるリスクが高まります。

買い一辺倒ではなく、《両建て売買》も駆使していきたいところです。

資金10万円以下のときよりも戦略の幅が広がっているためか、どの時間軸の手法も考えられそうです。

資金が増えると自分のスタイルにあった手法が選択できるといえるでしょう。

【1億円~の戦略】

最後に資金1億円以上の戦略です。

もはや「株式投資しなくてもよいのでは?」と思ってしまうほどの資金量です。

“億り人(おくりびと)”がどんなことを意識しているのか探求します。

まず、リスク管理の徹底は欠かせないでしょう。

資金を増やすよりも、減らさないことに念頭をおきます。

ですから資金1億円といえども、全額を投資しているわけではありません。

1億円全額を投資して、”ショック安”に見舞われたら想像がつく通りです。

リスク管理の手法に《時間分散》と《銘柄分散》があります。

《時間分散》は1度に仕掛けず、タイミングをずらしながら少しずつ仕掛けていく手法です。

《銘柄分散》は複数の銘柄に仕掛けていく手法です。

どちらも1度に失う資金を限定する効果があります。

加えて、銘柄選びにも気を配ります。

《上場廃止》しそうな銘柄や《ボラティリティ》が大きい銘柄は、大金を失う可能性が高いです。

短期売買を行うにしても、”優良株”を狙いたいところです。

スキャルピングの場合

自分が仕掛けるロットに注意します。

ロットの大きさによっては、大口の注文となるからです。

市場に与える影響を考えて注文を入れましょう。

デイトレードの場合

《スキャルピング》同様、自分が仕掛けるロットに注意します。

スイングトレードの場合

資金が豊富にあるため、買い増し・売り増しの戦略がとれます。

ポジショントレードの場合

《銘柄分散》を意識して、様々なセクターをおさえます。

長期投資の場合

配当生活も夢ではありません。

“優良株”のうち、高利回りな銘柄を狙っていきます。

資金が豊富なため、どんな戦略もとれます。

しかし、制約があることを忘れてはいけません。

リスク管理は怠れませんし、ロットにも注意が必要です。

また、運用資金が多くなると精神的な強さも求められます。

恐怖や不安に打ち勝つ投資家が億り人になれるのかもしれません。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする