両建て売買(クロス取引)とは、同一銘柄で新規買いと新規売りの両方を建てることです。
必ずしも同時刻や同価格で建てるわけではなく、目的によって変わります。
上図は同時刻・同価格(1,000円)で仕掛けた例です。
買い玉・売り玉の両方を保有したまま株価が1,200円に上昇した場合、買い玉の方は+100,000円の利益、売り玉の方は-100,000円の損失になります。損益は±0円です。
反対に株価が800円に下落した場合、買い玉の方は-100,000円の損失、売り玉の方は+100,000円の利益になります。損益は±0円です。
この事から同時刻・同価格での両建てについては、株価がどちらに動いても損益は発生しません。(手数料と金利は掛かりますのでご注意下さい。)
これは主に株主優待を取得したい時に使用されます。
株主優待の権利落ち後は株価が下がりやすい傾向があるので、両建てしておくと損失を回避する事が出来ます。
しかし空売りは時に高額な逆日歩が発生する場合があります。
・2012年9月25日 「(7647)音通」
株価15円に対してなんと18円もの逆日歩が発生しました。
皆が優待取得のために両建てを行ったため、極度の株不足に陥ったのが原因とされています。優待は5000株以上で権利が付いたので、両建てを行った投資家は9万円も支払う事態になってしまったようです。ちなみに優待はそうめん3000円分だったようです。
こちらは買い建て玉を保有中に、後から売り建てした例です。
株価が下落した際に売り建てしておくと買い玉を保持したまま損失の拡大を防ぐ事が出来ます。どうしても保有を継続したい場合に有力です。この手法は「つなぎ売り」と呼ばれています。