空売りとは、株式を持たずして新規売りを仕掛けることです。
「株式を持たずしてどうやって売るの?」
実は証券会社(株式の所有者は企業や投資家など)から株式を借りてくることができるのです。
しかし、続いてこんな疑問が浮かぶでしょう。
「借りてきた株式を売っちゃっていいの?」
売ってしまって構いませんが、借りたものはしっかり返さなければなりません。
「どうやって返すの?」
市場で株式を自ら買戻して証券会社(所有者)に返します。
【利益の出し方】
ここまでで空売りの仕組みをつかめたのではないでしょうか。
次に空売りの利益はどのようにして出るのか説明していきます。
上図は一例ですが、株価3,000円で空売りを仕掛け、2,800円で買戻しました。
借りてきた株式を3,000円で売って、安くなった2,800円で買戻して株式を返しているわけですから、この取引は下落幅である差額200円が利益となるのです。
このように空売りは株価の下落局面で利益を上げることができます。
【損失となるパターン】
続いて損失となるパターンをみていきましょう。
上図は株価2,600円で空売りを仕掛け、2,700円で買戻しました。
株価下落後に買戻した先程の例とは違い、今度は株価上昇後に買戻しています。
この取引では上昇幅である差額100円が損失となってしまうのです。
つまり、株価の上昇局面では利益を上げることができません。
ここまでのまとめ
- 空売りは新規に売りから入る売買手法である。
- 空売りは株価の下落局面で利益を上げることができる。
【空売りにかかるコスト】
株価の下落局面で利益を出せると聞いて、早速空売りをしてみたくなった方もいらっしゃると思いますが、ちょっと待ってください。
その前に空売りにかかるコストを確認しましょう。
- 売買手数料。
- 貸株料(売り建て金利)。
- 品貸料(逆日歩)。
空売りにかかるコストには上記の3つがあります。
まず「1.売買手数料。」ですが、既に投資の経験がある方はご存じでしょう。
売買が成立した際、証券会社に支払う手数料です。
売買手数料は証券会社によって異なり、また《現物取引》《信用取引》問わず発生します。
続いて「2.貸株料(売り建て金利)。」ですが、株を貸している間にかかる利用料となります。
年率で日割り計算されて、1日単位で料金が発生します。
株式の保有期間が長くなるとかさばる点に注意が必要です。
また休日においても金利はついてしまいますから、大型連休にも気を付けたいものです。
最後の「3.品貸料(逆日歩)。」ですが、借りてくる株式が不足した際に発生します。
どういうことかというと、空売りをする投資家が増えると空売るための株式が無くなってしまいます。
そこで証券会社は新たに株式を調達してこなければなりませんが、この調達コストを空売りを行う投資家にも負担してもらうということです。
信用売り残が膨らむと、ときにとんでもない品貸料となることがありますので、よく確認してから空売りを行いましょう。
品貸料1円といった際には、1株当たりに1円かかることになります。
【空売りの仕掛けタイミング】
先程も出てきましたが、空売りは株価の下落局面で利益が出る売買手法です。
つまり、上値と下値が切り下がっていく下降トレンドであれば勝ちやすいと考えられます。
実際のチャートで確認してみましょう。
上図は「(4777)ガーラ」の日足チャートです。
*赤のライン=5日移動平均線。緑のライン=25日移動平均線。
しばらく株価が下落した後、大陽線をつけて翌日には寄らずストップ高となりました。
5日移動平均線と25日移動平均線が上向きに転じたことから上昇トレンド入りかと思われます。
しかしストップ高翌日は天井サインである”首吊り線”が出現しています。
首吊り線とは上昇途中で窓を開けて上放れで寄付、その後利益確定の売りに押されるものの、引けでは始値近辺まで押し戻した形です。
一見強そうに見える足型ですが、利益確定の売りがたくさん待ち構えていたことが判明し、相場は反落しやすくなります。
そのため、首吊り線の翌日の寄付に空売りを仕掛けてみるのは1つの手段といえそうです。
この例では、大陽線が出現したら翌日の寄付で手仕舞いというルールで空売りに成功しました。
首吊り線以外にも天井を暗示する足型はたくさんありますので、どのようなときに空売りが有効か探ってみるとよいでしょう。