株式投資を行っていく上で重要になってくるのがテクニカル分析。
その中でも「線を引く」という行為は非常に重要で、これからの株価の推移を予想するうえで役に立つものです。
■トレンドラインとは一体何なのか
株の入門書などを読んでいると「チャートに線を引く」という言葉をよく目にしますが、トレンドラインはそういった線引きの実例であると言え、チャート上の高値と高値、または安値と安値を結んで、その株価の流れを掴むのに重要になってくるものです。
高値と高値を結んだトレンドラインは「抵抗線(レジスタンスライン)」、安値と安値を結んだトレンドラインは「支持線(サポートライン)」と呼ばれ、そのライン上での株価の動きは非常に重要になってきます。どことどこを結ぶか、という明確な決まりはなく、あくまでもある点と点を結ぶだけというのがトレンドラインのシンプルな特徴なのですが、その節目を気にするトレーダーが非常に多いため、重要なポイントとなってくるというわけです。
実際にあるチャートにトレンドラインを引いてみましょう。
このチャート上における、ある高値と高値を結んで抵抗線を描いたのがこちらです。
株価が抵抗線に近づくと、そのライン上で上値を抑えられることが多いのですが、このケースでは抵抗線を上抜けたあと、その後同じ線を下回らずに推移しています。
このようなかたちで「抵抗線を明確に上抜く」とトレンドが変わり、下がり歩調から段々と株価が上向くことが多いです。
次に同じチャート上に支持線を引いてみましょう。
支持線上で株価が大幅に下落し、ラインを割っていることがお分かりになるかと思います。支持線を割る前はじわじわと上がり続けていたものの、割った後は下落トレンドとなっていることが見てとれますよね。
以上のように、トレンドラインを割ってしまうとそれ以前の株価の流れが変わってしまうことが多いのです。逆にトレンドラインを割らずに、線上で戻りを見せればその流れは継続すると言うことができます。
■なぜトレンドラインは重要なのか?
株価の流れを予想する材料にはファンダメンタルズやオシレーター等、トレンドライン以外にも多くのものが存在しますが、投資について調べると必ずと言っていいほどトレンドラインの重要性が強調されています。これは一体なぜなのでしょうか?
その理由は先にも書いたとおり、「シンプルで分かりやすいため多くの投資家が注目しやすいから」ということが出来るでしょう。
株価が高値を更新するかどうか、というときに前回高値を気にする人は決して少なくないはずです。
先ほどのチャートでも何度か高値にトライしようとしている場面が見てとれますが、やはりそこは多くのトレーダーの中で心理的な抵抗ラインになりやすいのです。
そういった意味で、投資において「節目」というのは非常に重要であり、他のトレーダーがどういった視点を持っているか?を考察する上で非常に役に立つものなのです。
■トレンドラインだけで利益を出すことは出来る?
ここまでの例を見てくると、トレンドラインを重要な点と見て、そこでトレンドが変わったら買い・売りをそれぞれ転換すれば良いだけのようにも見えます。そういった考えのもと、トレンドラインだけで利益を出すことは可能なのでしょうか?
その答えは皆さんお分かりかと思いますが、「トレンドラインだけで利益を出すことは不可能」であると言えます。
…が、それと同時に「可能でもある」と言うことが出来ます。要はトレンドラインを引いただけのトレードでは、利益が出ることもあるし出ないこともあるのです。当たり前のことですね。
が、継続して利益を出していけるかどうか、という問いになるとクエスチョンがつきます。簡単な手法で儲けられるなら皆そうしているでしょう。が、その手法が流行ってくると、次はそれを逆手にとったトレードをする人が増えてくるのではないでしょうか。
利益を出す手法や考え方は人によって千差万別だと思いますが、恐らくトレンドラインのみを使用している、という人は少ないのではないでしょうか。色々な指標やテクニカル分析を基に、広い視野を持ってトレードをしているかたが大多数だと思います。
トレンドラインはあくまでも一つの目安であるということが言え、それを使って利益が出るかどうか、ということは予測と検証のもと考えていく必要があるでしょう。
「移動平均線と組み合わせてみたら上手くいくのでは」「季節的要因や政治の流れとトレンドラインを組み合わせる」など、色々な考察をしたうえで確率的に期待値の高い手法を作ることが出来れば良いのです。
■トレンドラインを引いて「良いチャート」を発見しよう
先に書いたとおり、トレンドラインの利用法は人によってそれぞれなのですが、トレンドラインを利用した「良い日足の見つけ方」を一つご紹介します。
それは「長い間株価が底値圏をさまよっていた銘柄の大陽線が、上値抵抗線を超えてブレイクしたとき」です。
出来高の急増とともに出来る大きな陽線は、多くの投資・投機資金を巻き込んだ相場を作る可能性が非常に高く、それまで手垢がついていない銘柄ほど調整を繰り返しながら上昇を繰り替えすことが多いです。
やや短期視点でのトレンドラインの使い方ではありますが、ひとつの例となれば幸いです。