お化粧買い

■お化粧買いとは

お化粧買いとは、年金基金や企業などの機関投資家が自身の運用成績をよく見せるために、決算期末や月末において、自分たちが保有している株式の買い注文を出すことを指します。

例えば、ある機関投資家が自身の運用するファンドで、A社株を株価1000円で、100万株を購入したけれども、その後株価が950円にまで下がってしまったという状況を考えてみましょう。

この時、10億円で購入した株が9億5000万円にまで評価額が下がってしまっていることになります。こうした状況下において、このファンドの運用者がA社株に対して、大量の買い注文を出すことで、一時的にでも株価が1000円にまで戻すことができれば、決算報告書の上では、損失が発生していないように見せることができます。

このように、機関投資家などが運用成績をいわば化粧をして実態以上に見せようとするために買い注文を出すことを化粧買いといい、また化粧と同じように、良い服を着て外見を良くしようとすることとも似ていることから、ドレッシング買いともいわれることもあります。

■なぜお化粧買いが生じるのか

こうしたお化粧買いが生じる原因の一つは、機関投資家の多くが毎月や、半年、または1年といったように短期的な運用成績で評価されており、その成績が判断されるのが年度末や月末といった決算期末となるからです。

もし、この運用成績が悪ければ、ボーナスや昇進に響くという個人的な問題だけでなく、ヘッジファンドの顧客には運用成績に対して非常にシビアな顧客もいるため、満足の行かない場合にはすぐに投資資金を引き揚げて、他の運用会社に交代することも生じてしまいます。

こうしたことから、一時的に株価を釣り上げて、見せかけの運用成績を着飾ろうとする行為が時として行われてしまいます。

■お化粧買いを見抜くことは難しい

お化粧買いによって一時的に株価が上昇したとしても、その企業の実態に沿っていない創られた需要である場合、すぐに化粧がはがれ、株価が低下していくことは目に見えています。

しかしながら、こうしたお化粧買いを外部から見抜くことは非常に難しいと言われています。なぜなら、その追加の買い注文が「その機関投資家が何か新しい情報をつかんだためにこれから株価が上昇すると判断した」という通常の投資判断なのか、「株価上昇を意図的に狙った」というお化粧買いとでは、外部から見ている分には全く同じ投資行動になってしまうからです。

そのため、ニュースなどでお化粧買いと言われる場合には、月末などに生じた理由のよくわからない株価上昇時にこうした表現が使われているようです。

いずれにせよ、個人投資家の立場としては、こうしたお化粧買いを見抜くことはできないので、月末にはお化粧買いによる株価の上昇がありえると心にとどめておく程度でよいでしょう。

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