エリオットの波動

株式投資においてはそれこそ無数の投資方法が存在しますが、エリオット波動もそのひとつ。これを知っているのと知らないとのでは大きな違いとなるでしょう。

この記事では、エリオット波動の基本についてご紹介します。

■エリオット波動とは

簡単にいえば、エリオット波動は「株価の上下は波のように推移し、その値動きには規則性がある」と考える理論です。

アメリカ人の会計士ラルフ・ネルソン・エリオット氏が提唱した「市場価格は上昇局面では5つの波動を描き、下降局面では3つの波動を描くというパターンで動いている」というテクニカル分析の考え方です。エリオット氏は市場のサイクルがその時の大衆がもつ支配的な心理に対応する投資家によって形成されることを発見しました。

つまり、大衆が株価に対して強気な心理になっていれば、株価が上がることになります。しかし、株価が上昇をすると、それに反応して利益確定売りなどの投資家による調整が生じ、株価が低下します。

その株価の低下に対して、大衆が強気な印象を持っているにもかかわらず株価が低下したので、割安になっていると判断した投資家が株を購入し、また株価が上昇します。

こうした動きが5つの上昇波と、3つの下降波で構成されることをエリオット氏はフィボナッチ数列の考え方をベースに経験則から発見したのです。

エリオット波動では、上昇トレンドは5つの波、下落トレンドにおける値動きは3つの波で構成される、という概念が基になっています。

多くの金融商品はその価格が上がり続ける、または下がり続けることはなく、どこかで必ず反発する動きを見せるわけですが、そのトレンドを予測するのに役立つのがエリオット波動です。

上昇時の5つの波は第1波から第5波までで構成され、第1波では上げ、第2波では下げ…というサイクルを繰り返して高値更新をしていきます。

逆に下降時の3つの波はa波からc波までで構成され、a波で下落、b波で反発、c波で安値更新という波動を描くというのがエリオット波動の定説です。

(1)株価が上昇して、(2)その修正で低下し、また(3)上昇して、(4)利確売りによる修正がでて、さらに(5)強気な大衆の心理による株価の上昇するという5つの上昇波が生じ、その後この値上がりによって強気な印象による株価の上昇がひと段落し、(a)株価の低下と、(b)強気な印象の残りが買い増しすることによる株価の上昇、(c)ポジティブ派の減少による株価の低下、というパターンが見られることを経験則から発見したのです。こうしたパターンを把握することで、今が上昇トレンドなのか、もしくは下降トレンドなのか把握しやすくなります。

それぞれの波は更に小さな波(身近な時間軸での波)で構成される、ということも頭に置いておいてください。

個別株にもこの考えを適用させることは可能ですが、どちらかというと日経平均や為替などの指数において使われることが多い考え方です。

■エリオット波動はいつでも機能するのか? 3つの原則を知ろう

エリオット波動の定義を表すチャートを見ると、「いつもこんな価格推移は起こらないよ」と考える方も多いのではないでしょうか。

当然いつも決まったように価格が動くということはなく、エリオット波動も基本形をもとに様々な応用がなされます。

様々なタイプの移動平均線と併用させた使い方や、フィボナッチを利用したトレ―ド等もあり、非常に奥が深いのですが、まずはエリオット波動における3つの原則を抑えておきましょう。

1.第3波は第1波、第5波と比べ、一番短い上昇となることはない

エリオット波動で大事なのは「カウント」、すなわちどこが上昇の始まりなのか?ということを観測することです。

そのときに第3波が一番短い上昇波動となってしまうような捉え方は原則から外れてしまうのでアウト、というわけです。

2.第2波が第1波の始値より安値をつけることはない

上の画像のように、第1波の始値=安値を第2波の調整で割ってしまうと、最初の上昇は第1波とはカウントできません。

抵抗線を割ってしまうと、トレンドの継続は難しくなってしまうためです。

3.第4波が第1波の高値を割り込むことはない

3つめの原則が、第4波の安値が第1波の高値を割り込むことはない、というものです。
2つめの原則と同じく、上昇波動の中での基本的なルールとなりますが、こういった形になってしまうとヘッドアンドショルダー(三尊)という下落トレンドに転換してしまうパターンが多いです。

■エリオット波動を学ぶ

エリオット波動に限らず重要なのは、トレンドの転換点を掴むということです。

先に挙げた3つの原則は、それを掴むためにもカウントの開始点を誤らないことが重要であることを示しています。

先述した通りエリオット波動は非常に奥が深く、かつ技術を必要とする考え方で、極めるのには時間がかかるのですが、多くの人のカウントを観察したり、自分で勉強をしていく上でそのスキルを磨くことが出来るでしょう。

Trading view(https://jp.tradingview.com/) というサイトは世界のトレーダー達がどんなテクニカル指標をチャートに描いているか、を見ることの出来るサイトですが、初心者の方はまずはここを見続けてみるのが良いかと思います。

エリオット波動に限らず、非常に広い視野からチャートを眺めている方が多く勉強になりますし、他のトレーダーがどういった考えを持っているかは重要なポイントであると考えます。

幅広くインプットしたうえで、自分の考えを持ってトレードを行っていくことが持続的な利益獲得への第一歩なのではないでしょうか。

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