フラッシュ・クラッシュ(瞬間的暴落)とは、ニューヨークダウ平均株価がわずか10分の間に1,000ドル近く(当時のダウ平均株価の約9%に当たる)下落した出来事を指します。
事件は2010年5月6日の2時40分に発生しました。
ダウ平均株価は突如急落し始め、わずか10分の間に1,000ドル近く下落、出来高は190億株にも達しました。
これは取引時間中としては過去最大の下げ幅を記録したことから全米を震撼させる事態となりました。
詳しい原因は明らかにされておらず、高速取引やアルゴリズム取引など様々な要因が重なったといわれています。
“日本でも同様の事件が発生するのではないか”と思われた方もいらっしゃると思いますが、日本の株式市場では《値幅制限》という制度が設けられているため、株価が下げ止まらないという事態には陥りません。
《値幅制限》とは株価の極端な暴騰・暴落を防ぐことを目的とした制度のことです。
この制度によって株価の1日に変動出来る上下の値幅が決められています。
なお《値幅制限》の上限を《ストップ高》、下限を《ストップ安》といいます。
米国の市場ではこの《値幅制限》という制度が設けられていないため、”フラッシュ・クラッシュ”は発生したのです。
しかし日本の市場においても取引所や証券会社のシステムトラブルはつきもので我々投資家が多大な損害を被る可能性というのは十分に考えられます。
また外部要因だけでなく誤発注や操作ミスによる思わぬ損害というものも考えられるため、常日頃から気を引き締めて相場に臨みたいものです。
実はこのフラッシュ・クラッシュには後日談があります。
5年もの間、原因が分からずにいましたが、事件は急展開を迎えました。
2015年4月22日、英国人の先物トレーダーであるナビンダー・シン・サラオ(36)容疑者が逮捕されたのです。
サラオ容疑者は高速取引で大量の注文を入れてはキャンセルするような取引を繰り返して不正な利益を得ていたようです。
フラッシュ・クラッシュは人為的に発生したものだったのです。
ここで我々投資家はどのように対応すべきか問題になりますが、やはり自分で決めたルール通りに行動するほかないでしょう。
天災が起きようと人災が起きようと、それらに負けない投資家を目指したいものです。