■追証(おいしょう)とは
追証とは、追加の保証金のことを指します。信用取引や先物取引などでは、担保を差し入れて現金や株式を借りるため、定められた担保を金融機関に預ける必要があります。この担保のことを「委託保証金」と言います。
また、金融機関から借りたお金に対する「委託保証金率」のことを保証金の維持率といい、金融機関はそれぞれ一定の保証率を下回った場合に、追加で保証金を預けることが必要になります。
■追証の具体例
追証の仕組みについて具体例を使いながら説明しましょう。
例えば、今あなたは空売りを仕掛けたいと思い、証券会社から100万円分の株を借りて、売りに出したいと考えているとしましょう。そして、その証券会社は保証金の維持率が25%未満となった場合に、翌々日までに維持率が30%を超えるまで追加で保証金を納める必要があるとしましょう。
この時、証券会社に40万円を委託保証金として預け、証券会社から100万円分の株を借り、無事に空売りをすることができたとします。この空売りをした時点での保証金の維持率は、借りた100万円に対して預けた40万円なので40%となります。
しかし、空売りをした銘柄が予想に反してどんどん値上がりをしてしまい、評価損が15万円も発生してしまいました。そうなると、金融機関に残っている「委託保証金」は当初預けた40万円から評価損の15万円を引いた25万円となります。
そのため、保証金の維持率は25%となってしまい、証券会社から維持率が30%にまで回復するよう最低でも5万円を追加で預けるよう要請されることになります。もし、この金額を預けることができなければ、強制的に株は買い戻され、15万円の損が確定することになります。
このケースでは、評価損が発生したことによって、追加で預けることを要求された5万円が追証となります。このように、追証は評価損が発生することによって、保証金の維持率が低下してしまった場合に生じることになります。
■追証は有価証券でも代用可
この追証は現金以外にも有価証券でも代用することが可能です。しかしながら、注意しなければならないのは、有価証券の場合、その時価評価額に定められた掛け率をかけた金額となってしまいます。
例えば、東証一部の銘柄であっても8掛けとなってしまいますので、80万円の追証が発生した場合には100万円分の有価証券を預ける必要があります。
このように、現金ではなく有価証券でも追証に対応することはできますが、お得ではないのでなるべく現金で預けるようにするか、そもそも追証が発生しないよう安全に投資を行うように心がけることをお勧めします。