■5%ルールとは
株の5%ルールとは、上場企業が発行している株式総数の5%を超える株を保有している株主に義務付けられたルールのことを指し、具体的には次の3つのことを指します。
1つ目のルールは、「大量保有報告書」の提出です。保有している株が上場企業の発行済み株式数の5%を超えた日から5営業日以内に、その株の大量保有者は内閣総理大臣に「大量保有報告書」を提出しなければならないと定められています。2つ目のルールは、「変更報告書」の提出です。その5%以上保有している企業の株の保有割合が1%以上変動する場合や、報告書に記載された内容に変更が生じた場合にも「変更報告書」というのを内閣総理大臣に提出する必要があります。3つ目のルールは、「訂正報告書」の提出です。記載内容が不十分であった場合にはこの「訂正報告書」を提出する必要があります。ある企業の株式を5%以上保有している株主にはこうした3つの報告書を提出することを義務付けたものを5%ルールと呼んでいます。
■なぜ5%ルールが必要なのか
この5%ルールが必要とされるのは、基本的には投資家の保護のためです。大量の株式が特定の個人や組織に買い占められるようなことが生じれば、その大量保有者が5%近くの株を一気に売りに出せば株価が急激に下落してしまうといったことや、企業の買収のためにこれからも株をどんどん買い増すといったことが生じれば逆に株価は急騰する、という可能性もあります。こうした企業本来の価値とはほとんど無関係な売りと買いで株価が決まってしまうと、市場が混乱するもととなってしまいます。こうした混乱を避けて株式市場の透明性を確保することで、投資家がより適正な企業評価に基づいて売買が可能となるように5%ルールは定められています。
■投資にどう生かせばよいか
実はこの5%ルールで定められていた「大量保有報告書」は金融庁の「EDINET(エディネット)」やその他のサイトで公開されているため、誰にでも閲覧することが可能です。その大量保有報告書には、保有割合や報告義務の発生日、保有者の名前などを確認することができます。そのため、例えば、短期売買で名高い投機的なファンドが大量保有者として名を連ね始めた場合、「株価がある程度上昇するとそのファンドによる利確売りが生じて、株価が下落してしまう」といったことを予想することができます。また、逆に、安定的に保有する傾向のある投資家が大量保有報告書にその名が載れば、「景気が悪化しても他の企業ほどは株価が下がりにくい」といったことも予想することができます。このように、「大量保有報告書」に記載されている情報も投資に活かすことで、より精度の高い投資予想をすることができるようになります。