戦前の投機家ジェシー・リバモア。
結婚と離婚を繰り返し、4度の破産を経験という波乱万丈な人生を送った。
そんな彼ならではの名言に迫っていく。
【プロフィール】
ジェシー・ローリストン・リバモア
1877年7月26日、アメリカ合衆国マサチャーセッツ州シュルーズベリー生まれ。
20世紀前半の投機家。
空売りを得意としていたことから「ウォール街のグレート・ベア」の異名を持つ。
ベアは”熊”を意味し、買いをブル(牛)、売りをベア(熊)と呼ぶことから。
人生で3度の結婚と2度の離婚を経験している。
株式投資では数百万ドルの資産を4回築いたが、4回ともその後に破産してしまった。
晩年はうつ病を患っていたこともあり、最期は拳銃自殺を遂げるという壮絶な人生であった。
【名言】
- 良いアイデアが相場で大きな利益を上げる秘訣ではない。最も重要なのは、絶好の時が来るまで静かに座っていることだ。
閃きよりも状況判断のほうが大切だということ。
良い投資法が浮かんでも今の相場に通用するかわからないし、チャンスを待つことのほうが簡単だ。
それほど忍耐力は求められる。
- 株価が変動する姿にのみ意識を集中させよ。変動の理由に気をとられるな。
株価変動の理由はどうであれ、その株価になったという事実を受け止めて行動せよということ。
株価が「なぜ上がった」「なぜ下がった」かはわからないし、どう行動するかが大切だ。
よく雑誌で、日経平均株価はなぜ下がったのかなどと掲載しているが、所詮は後講釈にすぎない。
本当の理由など誰にも知る術はないのである。
- 相場に、絶対確実などということはまずないと思うべし。いつ地雷を踏むかわからんのだから。
相場に”絶対”はない。
「100%上がる」「100%下がる」なんてことがあったら、そもそも相場は形成されない。
どんなに自信のある投資法も必ず穴はある。
「絶対にこうなるはずだ」などと視野が狭くなっているといつか痛い目にあう。
そうならないためにも柔軟な思考を持ちたいものだ。
- トレーダーの相場に挑む態度はプロのビリヤードプレイヤーと同じで、目先の1ショットではなく、はるか全体を見渡してプレーするのだ。どのポジションをとるかを考えながらプレーするのはプロにとって習性だ。
部分よりも大局観が重要だ。
目先の勝負にこだわるのも悪くないが、全体がダメになっては元も子もない。
全体の結果が良くなるのであれば、犠牲はつきものだ。
野球でも同じことが言える。
打者全員がホームランを打てるに越したことはないが、そんなことは到底不可能だ。
だから、ランナーと犠打に役割を分けて得点を狙う。
株式投資は資産を増やすことが目的だ。
1回1回の勝負に勝つことではない。
資産を増やすためには、なにが一番近道なのか考えよう。
- 市場で自らを鍛え、何かを学び取りたいと念じるなら、身銭を投じて、自らの手口を注視し、失敗から教訓をえることだ。
何かを学びたければ対価を払わねばならない。
株式投資では、市場に資金を投じて初めて教訓がえられる。
最初のうちは失敗ばかりだろう。
でもそうやって成長していく。
ウォーレン・バフェットにも似たような名言がある。
「小額でいいですから、投資をしてください。本を読むだけではダメです。」
ようは、失敗しても自分で経験することが大切なのだ。
失敗を恐れていては、一歩も前に進まない。
- 株投機は世界で最も魅力的なゲームだ。しかし怠惰な人、感情をコントロールできない人、それに手っ取り早く儲けようなどと思っている人は、絶対に利益を上げることはできない。
投機にも忍耐力が必要だということ。
株式投資で100%勝つことは不可能である。
だから時間軸を問わず、一進一退の攻防になるのだ。
3歩進んで2歩下がるイメージと言えば、わかりやすいだろうか。
この”2歩下がる”がとても重要になる。
1歩も下がらずに前進できれば理想的だが、そうは問屋が卸さない。
ここで、例をご覧いただきたい。
例1.300万円毎日勝つ
→34日目に1億円達成
例2.300万円勝って翌日に200万円負けるを繰り返す
→199日目に1億円達成
199÷34=5.85
例2は例1と比べ、1億円を達成するには約6倍の日数がかかった。
しかし例1は、34連勝と実現不可能に近い。
投機で成功するにも忍耐が求められるわけだ。
- 自分の知る世界に、専念せよ。
自分が知っている物事や分野で、勝負したほうが賢い。
得意分野で勝負してこそ、パワーを発揮できるからだ。
一転、自分が知らない世界ではカモにされてしまう。
自分にどんな教養が身に付いているのか、まずはそれを知るべきである。
武器も知らずに戦地へ出かけはしない。
テクニカル分析に、人一倍自信があるのであれば、まずは活かすべきだ。
それから、ファンダメンタル分析を学んでも遅くはないだろう。
- 明白なのは、強気相場では強気筋、弱気相場では弱気筋になれ!ということだ。
「投機は順張りで臨め」と言っている。
しかし、必ず順張りで行けということではない。
逆張りの短期筋もいるからだ。
あくまで、リバモアのスタンスなのだろう。
- 損切りができなければ、市場から消えるしかない。
損切りの重要性はイヤというほど本に載っている。
投資において避けては通れない。
投資家の死活問題に関わるからだ。
損失を確定する行為は精神的にとても苦痛を感じるが、それができないようだとまだまだ半人前である。
と言いつつ、筆者も未だに損切りできないときがある。
損切りは、自分の取ったポジションが間違いだったと認めるのと同じ行為だ。
人間は間違いや過ちを本能的に嫌う。
いつだって自分は正しいと思い込んでいる。
だから難しい。
そこでルールを決めて損切りしてしまうのが得策だ。
一切の感情を抜きにして、ルールに抵触したら全て処分してしまうのだ。
最初はルールを破ってしまうかもしれないが、退場しないためにも根気強く実行していこう。
【リバモアの人物像】
投機の考え方に秀逸している。
「株は買うもの」と考えている人が多い中、空売りが得意だったのいうのは異才とも言えるだろう。
成功の秘訣はそこにあるのかもしれない。
他人と違う一面がなければ、偉人にはなれないのだ。
また、メンタルが非常に強い。
最期はうつ病になったとはいえ、離婚と破産を繰り返すなど、一般人には到底耐えられぬ出来事だ。
強靭なメンタルは見習うべき点であろう。