■AIファンド
AIファンドとは、AI(人工知能)が銘柄の選択と売買を自動的に行う投資ファンドのことを指します。AI(人工知能)といえば自動運転などへの応用が有名ですが、投資の世界ではロボ・アドバイザーといわれるAIによる運用助言のサービスも広まりつつあります。
AIファンドは、そうした運用のアドバイスをAIに任せるだけでなく、運用自体をAIに任せてしまうというファンドとなります。
■大量のデータ処理をAIが自動的に行うAIファンド
AIファンドの特徴の1つは、ビックデータを活用しているという点です。AIファンドでは、AIが自動的に市場価格や出来高、マクロ経済データ、企業業績などの大量のデータを日々分析し、運用を行っています。
例えば、日本で実質的に初めてAIが運用するファンドはヤフー系列が運用を行う「Yjamプラス!(ワイジャムプラス)」であるのもビックデータの活用が大きくかかわっています。この「Yjamプラス!」では、Yahoo!JapanのビックデータをAI運用モデルが24時間解析、学習することで運用を行っていくとされています。
つまり、Yahoo!Japanで検索された用語というのは、関心度を示す指標としても使えるため、株価が上がっていないけれども最近多く検索されるようになっているといった企業などをAIが見つけ出し、他の投資家よりも先に投資を行うといったことが可能となります。
こうした他の証券会社がもつことのできないビックデータを活用できるという点がAIの分野にヤフーがいち早く参入した理由として考えられます。
しかし、これまでにもクオンツアナリストと言われる人たちが最先端の金融工学を駆使して、株価を予測するモデルを作り、そのモデルに従ってコンピューターに大量のデータを処理させることで資金の運用を行っていたため、この点ではこれまでの運用と大きな違いはありません。
よりAIファンドの大きな特徴となるのは、2つ目の特徴であるディープラーニングです。
■ディープラーニングによって、株価予測の精度を日々高めていくAIファンド
ディープラーニングとは、原因と結果のセットを大量にAIに与えることで、次第に複雑な因果関係をAIが学習していくことを指します。
投資で言えば、株価の値上がり率や、出来高、企業の業績といった株価に影響を与える原因と、その結果として実際の株価がどうなったのかという株価情報を数多く入手することで、次第にそれぞれの要因が株価に与え影響をAIが学習していくことになります。
そして、そうした株価に影響を与える要因と、実際の株価に関する情報はAIがインターネットを通じて自動的に入手できるようにもなっているため、一度運用を始めれば、AIが勝手に情報を入手し、そうした情報をもとに学習をしていくことで、次第により正確な株価予測が行えるようになっていきます。
クオンツアナリストによる株価予測モデルは状況が大きく異なれば、モデルを一から再び作り直さなければいけませんでしたが、AIファンドでは日々自動的に修正を行っているので、環境の変化にも強いと言われています。
■AIに夢を見すぎるのはまだ早いか
このように、AIファンドは日々学習し、次第に投資パフォーマンスを上げていく可能性がという点で非常に魅力的なファンドです。
しかしながら、成長余地があるということはAIが導入されてからの数年間はまだまだ十分に学習が進んでおらず、人の方がパフォーマンスが高くなるという可能性が高いといえるでしょう。
そのため、AIファンドだからと飛びつくのではなく、しっかりとそのパフォーマンスを調べた上で、どのAIファンドが最も学習能力が高そうなのか、もしくはそもそも人が運用する方がいいのかなどを検討する必要があります。