■ステルス注文とは
ステルス注文とは、他の投資家が出した注文に対して即座に反対の注文を出すことによって、他の投資家の注文がまるでなかったかのようにする注文をアルゴリズム取引によって高速に処理することを指します。
この注文方法は、ヘッジファンドが空売りを仕掛ける際にしばしば用いられるものとしても知られています。
■「買いが買いを呼ぶ」を防ぐために行われるステルス注文
例えば、あるヘッジファンドが銘柄Aの株を株価1,000円で、1万株の空売りを仕掛けているという状況を考えてみましょう。
この時、ヘッジファンドはこの銘柄Aの株価が下落すれば利益がでますが、株価が上昇してしまえばその分だけ損失を抱えることになります。
そのため、株価が上昇してしまうような要因はできるだけ排除したいとヘッジファンドは考えています。このような時に、だれか別の投資家が銘柄Aに対して大量の買い注文を出した場合、それを見た他の大勢の投資家も「大量の買いが入った」という事実につられて買い注文を出し、株価が上昇していく、ということが起こりえます。
いわゆる、買いが買いを呼ぶと言われることが起こりえます。こうしたことが生じてしまうと、空売りを仕掛けているヘッジファンドは含み損を抱えてしまうことになります。
「買いが買いを呼ぶ」という状況を防ぐために、最初の大量の買い注文が他の投資家に見つからないようにアルゴリズム取引を用いて、即座に消化しているのです。
■ステルス注文への個人投資家の対応は
こうしたステルス注文に個人投資家が逆手をとってうまく利益を出すというのは非常に難しいといえます。
なぜなら、そもそも「ステルス注文」という注文方法の性質上、それがいつ行われているのかを把握することが難しいからです。
ただし、こうしたコンピューターを利用した高速取引の手法が開発されたとしても、株式投資の鉄則である「割安な株を購入し、割高になれば売る」ということは変わりません。
無理にヘッジファンドや彼らが用いる投資手法に対抗しようとするのではなく、地道に適正な株価水準を見極める目を養うことがこれからの投資ではますます重要となります。