■投資の神様はファンダメンタルズ分析で大成功
投資をしようとしている人ならば、投資の神様と言われるウォーレン・バフェットの名を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。
世界長者番付でビルゲイツに次ぐ世界2位の富豪にも名を連ねているバフェット氏はファンダメンタルズ分析を行うことで、投資のリターンを獲得し、その地位を築くまでに至りました。では、投資の神様も実践するファンダメンタルズ分析とはそもそもどんなものなのでしょうか。ここでは、そのファンダメンタルズ分析について分かりやすく解説をします。
■ファンダメンタルズ分析とは
ファンダメンタルズ分析とは、企業の戦略や財務状態、景気動向などをもとに株式の本質的な価値を分析して、投資を行う方法のことを指します。例えば、「この企業は過去3年間売上が成長し続けていて、今後も成長して一株1000円ぐらいになるはずなのに、今は一株500円で買える。だから、今この株を購入すれば、いずれは儲けることができるぞ。」などと考えて投資をするのがファンダメンタルズ分析となります。企業の戦略や財務状態といったそれぞれの企業の要因が瞬時に株価に反映されると考えているテクニカル分析とは真逆の投資方法だといえるでしょう。
こうしたファンダメンタルズ分析の前提にあるのは、株式市場は効率的であるため、投資家は企業の本当の価値に一時的には気づかないかもしれないが、長期的には企業の実力がしっかりと分析されて、本当の価値に気付いていくということです。
会社での人事評価などを考えてみれば分かりやすいかもしれません。会社に入社してきた新卒社員たちは、出身大学や性格といったもので第一印象が決まります。しかし、ビジネスでの実力と第一印象は必ずしも一致するわけではありません。「期待されていた新人が思ったより使えなかった」といったことや、逆に「ダメだと思っていた新人が思わぬ活躍を見せて、見直された」といったことはよくあります。このように、長い間付き合うことでその人本来の実力が分かってくるということはよくあることではないでしょうか。
これは企業の評価でも同じなのです。株式市場で取引されている企業の中には、本来の実力以上に評価されている企業もあれば、実力以下の評価しかされていない企業もいます。そして、そうした過大評価、または過小評価はいずれ本来の実力(本質的価値)どおりの評価に近づいていくのです。別の言い方をすれば、優良企業が割安な株価のままずっと放置されていることはなく、いずれは適正な株価に近づいていき、逆に優良でない企業が高い株価のままであることはなく、いずれは株価が下がっていくことになります。
そのため、各企業の実力をしっかりと見極めて、過大評価さていると判断すればその株を売ってしまい、過小評価されていると判断すればその株を購入するということを行うのが、ファンダメンタルズ分析を用いた投資手法となります。
■成長株と割安株を探せ
このファンダメンタルズ分析を行う時に注目すべきポイントは企業の成長性と割安度です。簡単にいってしまえば、「今は実力がないから株価が安いが、将来成長して大物になって株価があがるぞ」という株(成長株)か「今すでにかなりの実力者なのに、誰もその実力に気付いておらず、株価が異常に低い」という株(割安株)を探すことが基本的な目標になります。
成長株を探す場合には、損益計算書に書かれている売上高や利益の伸びを分析し、また、割安株を探す場合にはPER(株価収益率)やPBR(株価純資産倍率)を分析するのが一般的です。PER(株価収益率)とは、株式の時価総額を純利益で割った値を指します。この値が小さければ小さいほど、利益をあげている割には株価が低いということを意味するので、割安であると判断できます。また、PBR(株価純資産倍率)は、株価を一株あたりの純資産で割った値を指します。
純資産とは、会社を解散して、その会社が保有する資産を売った金額のうち株主のものになる金額のことです。そのため、株価が純資産を下回っている時は、すぐにでも会社を倒産させてしまえば利益が出るということになります。そのため、経営状態が非常に悪い場合は別ですが、このPBRが1以下となっている場合は割安だと評価されます。
■最低でも財務諸表を読む努力が必要
このように、ファンダメンタルズ分析を行う場合には、最低でも損益計算書や貸借対照表といった財務諸表を分析することが必要となってきます。もちろん、公認会計士のような会計についての専門的な知識までは必要ありません。
しかしながら、今紹介したPERやPBRといった割安株を探す指標や、より詳細に分析をする時に必要となる指標をしっかりと読み取ることができるように、財務諸表の重要な部分を大体は理解できるといったことが必要となります。
ほとんどの企業ではHP上に「投資家情報」や「投資家の方へ」といったページを作っており、そこで過去数年分の財務諸表を公開するなど、ファンダメンタルズ分析に必要な情報を提供してくれており、簡単に入手することができます。そのため、もし、気になる銘柄が見つかったのなら、投資をする前にちょっとその企業のHPから財務諸表を入手してみて、投資に関連するデータを分析することをお勧めします。