閑散に売りなし

株式取引を行ううえで気に留めておきたいポイントのひとつが「買いと売りのバランス」。
当然のことですが、ある株価に対し買い手が多いほど株価は上がり、売り手が多いほど株価は下がるわけです。
今回はこの売買需給を考えるうえで大切な「閑散に売りなし」という言葉を見ていきましょう。

■「閑散に売りなし」とは?

「閑散に売りなし」とは出来高が細り、株価が低迷した状態で「売り」を行うのはよろしくない、という意味です。
多くの人は株価が下がれば弱気、上がれば強気になります。大きな陽線のローソク足が立つと、それが買いを呼んで更に高値を更新することがありますよね。
逆に出来高が少なくなり、株価が下がった閑散とした状況である銘柄に対しいきなり強気な目線を持つ人はそういないでしょう。
自分が保有している銘柄がそういった状態である場合、株価が上がらないのにイライラして売ってしまう、というケースもあるのではないでしょうか。

しかしそのような閑散の状況に買いが入ってくれば再び上昇に上向く状況である、というのが「閑散に売りなし」が意味するものです。
底値圏で株価がよこよこになっているということはその時点での売り手がいないということ。
そしてそこに好材料が来れば、買いのバランスが大きくなり株価が再び上がっていくというわけですね。

「閑散に売りなし」は株価が下がってしまっても損切りするな、という意味ではありません。
自分で決めたルールに則り、株価がある水準を下回ったら損切りを行うことが必要になるでしょう。
こういった銘柄を見つけたら「この後業績が回復したり、見直されたりしたら再び株価は上昇するのではないか?」という視点を持ってみるのがよいですね。
過去に株価が高かった理由は必ずあるのですから、条件が整えば再びそこを狙いにいってもおかしくはないためです。

■高値圏は警戒、底値圏はチャンス?

さきに書いた通り、株価が大きく上がっている銘柄は多くの人が注目しています。
そのため出来高も大きくなり、その後も激しい値動きで株価が上下していく展開が多いです。
が、こういった状況でなんの考えもなしに買いを入れてしまうと「高値掴み」となってしまい、大きな損となってしまうこともあります。
高値になればなるほど利益確定をしようとする人たちが増えてくるためですね。
そういったことを考えると、「高値圏では買いなし」という視点を持つことが出来るでしょう。

当然高値圏で絶対に買うな、ということを言いたいわけではありません。
ただ下がったら弱気、上がったら強気になってその動きに後から遅れて入ってしまうとババをつかまされてしまうこともある、ということです。
チャートやファンダメンタルズを踏まえたうえで「この水準で売買を行うのはリスクはないか?」と冷静になって売買を行うことが重要でしょう。

■「閑散に売りなし」で利益を出すには?

「閑散に売りなし」を、かんたんに復習をしてみましょう。

株価が低迷しレンジになったあと、そこから徐々に見直し買いが入って上昇トレンドに転換する。というのがその意味でした。
つまり「売りが強かった銘柄が」「買いも売りも低迷するようになり」「その後買いが強くなった」というわけですね。
買いと売りの需給バランスを読むことは重要で、たとえばそれは信用倍率や出来高である程度チェックすることが可能です。

「閑散に売りなし」とはやや意味が異なりますが、「売りが一巡したあと買いに入る」ことを狙うのなら、IPO銘柄のセカンダリーがそれに向いていると言えます。
IPO銘柄は上場日付近では値が乱高下するもののその後は株価が低迷するものが多いことが特徴。
しかしある程度日が経つと買いが入ってくる銘柄が多いのも忘れてはならないポイントです。

上場日付近ではベンチャーキャピタルの売りやロックアップが出ることにより株価が上がりづらいことがありますが、そういった売り需要をこなした後に上がっていく銘柄は強いです。

「閑散に売りなし」は言い換えれば閑散状態は買いのチャンスでもある、ということを表していると言えます。
株価が既に上がっている銘柄だけでなく、これから上がりそうな銘柄も調査してみるのがよいでしょう。

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