誰でも欲しいものがあるとき、それをなるべく安価で買いたいと思うのは自然なことでしょう。
物の価格は主に相場、そして需要と供給によって決定されます。大きな視点で見て、それを欲しい人が多ければ多いほど高くなる、というのが経済学の的な考え方です。
これは株式投資にも言えることであり、買いたい人が多ければそれは買い圧力となり株価を押し上げます。
逆に買いたくない、つまり売りたい人が多ければそれが株価を押し下げる要因となるというわけですね。
■「麦わら帽子は冬に買え」の意味って?
相場格言に「麦わら帽子は冬に買え」ということばがあります。
意味することは文字通り、麦わら帽子を買うなら冬に買え、ということですが、「夏に需要があり、冬に需要がない麦わら帽を安いうちに買っておく」ことで通常より安く買うことができ、更にはそれを夏に高値で売りつけることも可能…という提言をしています。
麦わら帽子…というとピンと来ない方もいるかもしれませんが、それを株式に当てはめてみると腑に落ちるでしょう。
株価が急上昇する銘柄は、あまり周知されていなかった材料が出たり、多くの人が考える市場コンセンサスからかけ離れた好業績が発表されたりした場合です。
周りが気付いていない間に安値でそういった銘柄を仕込んでおくことで高値で売却出来る。
この格言は株式取引をするにあたって、周りの意見を鵜呑みにするのではなく、自分なりの考えを持ち、調査を行うことの重要性も語っていると言えるでしょう。
ウォーレン・バフェットに並ぶ偉大な投資家であるピーター・リンチは徹底して「自分の強みのある情報を活かして投資を行え」ということを主張しています。
自分の好きなことや興味のあるものを調査し、そのうえで財務・経営状況などを考慮した上で売買を行う。
調査をすることにより裏付けのある株価上昇の見込みを持ち、それを売買に活かし利益を得る…というのがピーター・リンチの言う投資方法のポイントです。
「麦わら帽子は冬に買え」、価格が高くなったころに周りが買いに集まってきたところに安値で持っていたものを売りつける。
これは株式取引の世界では非常に重要な考え方であり、短期、長期、どんな時間軸でトレードをするにしても覚えておきたい視点です。
■ この格言を活かした取引手法
この相場格言は安いうちに買って人気がでたら売る、という意味のものですが、これを活かした取引手法のひとつとして「株主優待手法」が挙げられるでしょう。
株主優待を目当てに投資を行っているトレーダーは多く、株主優待を貰える権利確定日が近づくと優待欲しさに買いを入れ、それが株価上昇につながるといったケースがよく見られます。
その動きを利用して、権利確定日の数か月前の安い水準で仕込んでおいて、権利確定日が近づいたころに売る…というのが株主優待を利用した手法です。
当然全ての銘柄がそういう動きをするわけではないのですが、人気優待銘柄の過去のチャートをチェックしてみると気付くものがあると思います。
■周りよりプラスアルファをすることが大事
何事もそうですが、周りと同じことをやっているだけではそういった人たちと同レベルにしかならないことが多いと言えます。
株式投資でも周りより優位性のある行動をとり、利益を積み重ねていくことが重要と言えますが、そのためにも自分のトレードの軸を作ることが大事でしょう。
最初のうちは本やネットの情報を学ぶことも大事ですが、そうしたことを繰り返しているうちに自分の投資スタイルがだんだんと見えてくると思います。
その自分のスタイルを知ったうえで、それをどう伸ばし、どう利益に繋げていくか。
プロやスキルの高いトレーダーが跋扈する相場の世界で生き残っていくためには、日々改善を積み重ねていくことが重要であると言えるのではないでしょうか。
「麦わら帽子は冬に買え」という格言について見てきましたが、株の世界で同じことをやるためにはそれなりの調査や努力が必要となるわけです。
日々どうやったら成長できるか、どうやったら投資成績を高められるか試行錯誤していくことが必要であるということも説いている言葉であると思います。