指値を取り消すな

株式取引において、株価の上げ下げに一喜一憂され、取引判断を誤るというのは避けたいことです。そのために取引ルールを設け、一定の水準になったら利益確定・損切りを行う、と前もって決めておくのが重要であると言えます。

それに役立つのが「指値」で、これを先に設定しておくことで機械的にポジションの購入・売却を行うことが可能になりますね。

■「指値を取り消すな」とは

まず「指値」「逆指値」という基礎知識から復習しておきましょう。

両方「この値段になったら買う」「この値段になったら売る」というのを前もって決めておく、ということには変わりはありません。それが指値の場合、買いでは指定した価格以下になったら、売りでは指定した価格以上になったら約定する、というものです。

逆指値の場合は、買いでは指定した価格以上になったら、売りでは指定した価格以下になったら約定するということになります。文字通り、指値の逆ですね。

トレードを機械的に行う、ということは重要で、そういった点から指値注文は感情を挟まずにポジションをカットできるという点で優位性があると言えるでしょう。

「指値を取り消すな」というのも、株価が上がり下がりしたからといってそれにメンタルをぶらして指値を変更するな、ということを指摘しているのではないでしょうか。

特に人間、株価が上がると「もっと上がるから指値を引き上げて利益確定を伸ばそう」、株価が下がると「きっと反発してもとの株価に戻るだろうから逆指値を消してしまおう」という思いを持ってしまいがちだと思います。

最初にその株を買おうと思ったときのプラン通り売買を行う、それが重要なのだと説いている格言だと言えますね。

ひとつ具体例を挙げてみましょう。ある株が1000円であるとき、「950円になったら買えるようにしよう」と指値注文を950円に入れたとします。

その後株価が下がってくると、「950円より下の900円で買った方がよさそうだ」となり指値を取り消し変更してしまい、その下落を最後に株価は再び上昇に…というケースが指値を取り消してしまったことにより失敗してしまったという例のひとつですね。

短期トレーダー、中長期トレーダーによって指値に関する考え方は大きく異なってくるでしょう。

特にデイトレードのような短期の時間軸を見るものでは、指値か成り行きかで大きく成績に変化が出ると思います。

「指値を取り消すな」という言葉を真に受けて、全ての注文を指値にして成績が落ちてしまったら元も子もありません。

自分の投資スタイルや、過去の売買を振り返り、どう指値注文を自分の取引に活かしていけるか、というのを試行錯誤するのがよいでしょう。

■ロスカット出来ない理由を正当化しない

「指値は取り消すな」という言葉について見てきましたが、それが最も役立つのは損切りのための逆指値です。

前述したとおり、逆指値の売りは指定した価格以下になったら約定する、というものです。つまり、ある程度の損失が膨らんだ時点で自動的にそのポジションを売却することの出来る注文です。

前もってどのくらいで利益確定・損切りを行うか、ということは非常に重要なことで、言い訳をして損切りを遅らせてしまうことは避けたいものです。

「-3%になったらロスカットすると決めていたけど、長い目で見たら絶対上がるから損切りしなくていいや」といったような考えは誰もが持つでしょう。仮にそれで上がったとしても、次に同じような場面がきたときに損失が更に膨らんでいく可能性は十分考えられます。

株式取引で大事なのは一回に勝つことではなく、トータルで勝つことなのです。

そのために目先の利益・損失にとらわれず、「自分のトレードスキル・メンタルを向上させる」といった視点でトレードをしていくことが重要でしょう。その中で指値・逆指値を使い、トレードの質を高めていくことが出来れば自ずと望む結果も出てくるはずです。

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