■サヤ取りとは
サヤ取りとは、連動性の高い2つの金融商品に対して、「買い」と「売り」をそれぞれどちらか一方を行うことで、その2つの金融商品のサヤ、つまり価格差から利益を狙う投資手法のことを指します。
例えば、基本的には500円の価格差に収まっているA社株とB社株があり、現時点でA社株の株価が2000円でB社株の株価が1500円となっているケースでサヤ取りをすることを考えてみましょう。この時、まず、A社株を「買い」、B社株の「売り(空売り)」を行います。その後、株価が変動し、A社株が2500円となり、B社株が2000円となったとしましょう。すると、A社株では500円の儲けですが、B社株では500円のマイナスとなり、合計の損益ではプラスマイナス0になります。
次に、A社株の株価3000円にまで上昇し、B社株が2000円のままだった場合を考えてみましょう。この時、A社株では1000円の含み益が生じ、逆にB社株では500円の含み損が発生することになります。そのため、合計では500円の含み益となります。このように、A社株とB社株の価格差が500円から1000円に広がったことによって、利益を得ることができます。
また、逆に株価が下落した時にもサヤ取りで利益を出すことができます。例えば、A社株の株価が1500円にまで下落し、B社株も株価が500円にまで下落してしまった場合、A社株では500円のマイナスとなってしまいますが、空売りをしているB社株では1000円のプラスとなり、合計で500円の利益を出すことができます。
このように、2つの銘柄に対して「買い」と「売り」の一方を行うことで、その価格差が広がった場合に、利益を生み出す手法を指します。
■サヤ取りのメリット:市場の影響を受けにくくなる
サヤ取りの最大のメリットは、市場全体の動きに投資パフォーマンスが左右されにくくなるという点にあります。上記の具体例で示したように、「サヤ取りは2つの銘柄の価格差が広がるかどうか」が利益を生み出すためのポイントになります。そのため、サヤ取りを行おうとしている際に、市場全体が下落していようが、上昇していようが関係はありません。市場全体が下落していたとしても、投資のチャンスがあり、それによって利益を生み出す可能性がある投資手法になります。
■サヤ取りのデメリット
サヤ取りのデメリットは、売買コストがかかることと、短期的に大きなリターンを得ることが難しい、という点にあります。通常の投資を行う場合、売りか買いのいずれか一方のポジションを持つだけでいいのに対して、サヤ取りの場合は売りと買いの両方を同時に行うことになります。そのため、通常の投資を行う場合と比較して、2倍のコストがかかります。また、買い、もしくは売りだけのポジションを持っている場合、そのポジションが相場の動きと合えばその分だけの利益を得ることができます。しかしながら、サヤ取りの場合、常に売りと買いを行っているので、相場が上昇した場合にも下落した場合にも一方は損失を出し、もう一方で利益を出す、ということになります。そのため、リターンも少なくなってしまうというデメリットがあります。