■NISA口座とジュニアNISA口座の違いを解説!違いを知って使いこなそう
2013年に、いわゆる「マル優」「特別マル優」など、従来の投資家を優遇するための非課税制度が終了しました。
それに代わり、2014年から始まったのがNISA(少額投資非課税制度)です。2016年には若年層を対象としたジュニアNISAが始まりました。
ところで、これがどんな制度なのか、はっきりわかりますか?内容がわからないと、使いこなせませんよね。しっかり理解してください!
□NISAが始まった背景
NISAが始まった背景には、次の2つの理由があるとされています。
□軽減税率の廃止
平成25年12月31日までは、株式の配当・売却益にかかる税率は10.147%(所得税7.147%、住民税3%)にまで軽減されていました。
しかし、平成26年1月1日以降はこれが廃止され、税率が20.315%(所得税15.315%、住民税5%)に跳ね上がりました。このため、投資家に対するあらやな税制優遇制度を創設する必要があったのです。
□経済成長への期待
日本の2人以上世帯の金融資産保有額の種類別構成比をみてみましょう。次のようになっています。
参照
どんな金融資産をどれくらい保有している?|公益財団法人 生命保険文化センター
http://www.jili.or.jp/lifeplan/houseeconomy/asset/3.html
株式・投資信託の保有割合は約16%と極めて低くなっています。逆に預貯金を株式投資にシフトさせれば、経済の流動性が高まると考えられました。
そこで、株式投資をしやすくするための制度として、NISAが出現したのです。特に、若年層に株式投資に取り組んでもらうことも目的にしていました。
□NISAの名前の由来
NISAのモデルとなったのは、イギリスのISA(IndividuaSavingAccounts:個人貯蓄口座)です。「日本版ISA」という意味で、「日本」の「N」を取って、「NISA」となりました。
■NISA口座とは?
それでは、NISA口座の具体的な内容について説明しましょう。
□NISA口座の基礎
NISA口座を通じて購入した金融商品の譲渡益・配当金・分配金等が非課税となる制度です。なお、確定申告は必要ありません。
□対象となる金融商品
一般的には、次の金融商品が対象となります。
・国内上場株式
・国内上場優先出資証券
・国内上場REIT
・国内上場ETF
・国内公募株式投信
□口座開設の基本的な流れ
NISA口座を開設する場合、基本的には次の流れで進めましょう。
1)証券会社にNISA口座を開設したい旨を伝え、申込書類を取り寄せる。
2)申込書類に必要事項を記入し、住民票の写しと一緒に提出する。
3)証券会社が税務署にNISA口座開設の申請を行う。
4)証券会社からNISA口座開設完了の知らせが来る。
なお、NISA口座は、1回の手続きで利用できる期間(勘定設定期間)が設けられています。次の通りです。
制度の上限である10年間にわたりNISA口座を利用し続けるには、開設手続きが3回必要になります。
■ジュニアNISA口座とは?
次に、ジュニアNISA口座について説明しましょう。ジュニアNISAとは、若年層の投資拡大、大学等の高等教育機関への進学資金の形成を目的として、2016年からスタートした制度です。
□NISA口座の現状
NISA口座の現状を知っていただくために、金融庁のデータを用いて説明します。金融庁による平成27年12月末時点のNISAの口座開設数の調査結果は、次のようになっています。
※ 構成比は小数点以下第1位を四捨五入しているため、合計が100にならないことに注意。
出典
NISA口座の開設・利用状況調査(平成 27 年 12 月末時点)
http://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20160527-1/01.pdf
年齢が上がれば上がるほど、構成比が多くなっているのがわかるでしょう。当初の目的であった若年層の取込はうまくいっていません。
□ジュニアNISA出現の背景
NISAを開始したものの、若年層の取り込みがいまいちうまくいっていないことが、ジュニアNISA出現の大きな背景です。
これだけでは不十分なので、さらに分析してみましょう。次の3つの原因が考えられます。
□若年層の投資の促進
先ほどの分布からご覧いただいたように、投資を行っているのはほとんどが高齢者となっています。
これからの経済を担う若年層に、投資に対する理解を促し、実行してもらうことで、経済の活性化を図るのが急務となっているのも事実です。
□長期投資の促進
高校を卒業し、大学・短大・専門学校等に進学する際は、まとまった資金が必要となります。
早い段階で、長期間かけた資産形成を行うのが必須となるでしょう。
従来用いられた学資保険に加え、資産形成の手段としても活用できる制度を設けるために、ジュニアNISAが出現しました。
□ジュニアNISA口座と一般NISA口座の違い
「特定の口座を通じて、一定の金融商品の取引を行えば、そこで生じた利益に税金はかからない」という仕組みは同じです。しかし、細かい規定の面で違いがあるので、注意しましょう。表にまとめてみました。
■家族でNISA、ジュニアNISAを使うと?
NISA、ジュニアNISAの口座は1人1口座保有できるので、ぜひご家族で活用していただきたいと思います。制度の特徴と併せてご説明します。
□積極的な株式投資には向いていない
NISA、ジュニアNISAは、年間の投資上限金額が決まっているのが特徴です。一度株式などの金融商品を購入してしまうと、投資上限金額がどんどん減ってしまいます。
そのため、短期間に売買を積極的に行い、利益を多くあげたいというスタンスで投資を行う場合は、活用しにくい制度でしょう。
しかし、手ごろな金額で株式投資を行い、長期的な資産形成を考えている場合は、十分に活用していただきたい制度です。やはり、一定額まで金融商品の取引にかかる税金が非課税になるのは大きなメリットになるはずです。
□家族でNISA、ジュニアNISAを使う効果は?
「夫婦+お子さん(20歳未満)2人」の4人家族の場合、年間400万円(=120万円×2+80万円×2)まで非課税枠が使えます。
400万円まで非課税枠を使えるのだから、しっかり情報収集をし、投資を行えば手堅く利益をあげていくこともできるでしょう。
先にも書いた通り、短期で一気に資産形成、というのは難しい制度ですが、じっくり取り組んでいく投資スタイルを選ぶなら、ぜひ活用してください。