キャピタルゲイン

■キャピタルゲインとは

キャピタルゲインとは、株価の変動によって獲得することのできる収益のことを指します。

一般的には、株価が上昇したのちに売却して利益を出す、いわば値上がり益が有名です。

おそらく、株式投資になじみのない人が投資で儲けることを想像する時にはじめに頭に思い浮かべるものではないでしょうか。

例えば、ある会社の株を一株1万円で1,000株、つまり1,000万円分を購入した後、その会社の株価が上昇し一株1万1,000円になった際に、その会社の株を売却すれば総額で1,100万円になります。

この場合、1,000万円の投資が1,100万円になって戻ってきたため、その差額の100万円を儲けられたことになります。

この差額の100万円を株価の変動によって得られた利益、つまりキャピタルゲインと言います。

このキャピタルゲインの獲得を目指すというのが、株式投資の一つの目標になります。

■キャピタルゲインを獲得する2つの方法:現物取引と信用取引

キャピタルゲインを獲得するための手段として、現物取引と信用取引という2つの手段があります。現物取引は通常の株取引を指します。

つまり、投資家が自分で資金を用意し、その投資資金で株を購入し、株価が上昇した際にその株を売却できれば、キャピタルゲインを獲得するという方法です。

一般的に、「株をやってるよ」と言っている人のほとんどはこの現物取引を行っていると言えます。

それに対して、信用取引は、投資家が自分の「信用」を利用して証券会社から資金や株を借ることで株の取引きを行うことを指します。より具体的にいえば、投資家が証券会社に預けている金額の3.3倍までの資金を証券会社から借りて取引を行うというのが信用取引です。

例えば、ある投資家が証券会社に30万円を預けているとしましょう。この場合、この投資家は信用取引を行う場合、最大で100万円ほどの株を購入したりすることができるようになります。

■現物取引と信用取引の違い:値下がり局面でもキャピタルゲインの獲得が可能に

現物取引と信用取引の違いはいくつかありますが、その最も大きな違いは、信用取引では株価が値下がりしている場合にもキャピタルゲインを獲得することができる点でしょう。

現物取引の場合、株を購入して、値上がりをしたときに売却する、というように株価が値上がりしている場合にしかキャピタルゲインを獲得することはできません。

株価が下落している場合には、キャピタルロス(損失)がどうしても発生してしまいます。

それに対して、信用取引を行った場合には株価が値下がりしている場合にもキャピタルゲインを獲得することができます。それは、信用取引では株を購入してからその株を売るのではなく、株を売ってからその株を買い戻すという方法を取ることができるからです。

これを「空売り(信用売り)」と言います。い

もう少し具体的に「空売り」の方法を紹介しましょう。「空売り」をする場合、まず投資家は証券会社から株を借り、その株を株式市場で売却します。そして、株価が下がったときに、借りた分の株を購入し、証券会社に返却をするという手順を踏みます。

例えば、X社の株価が株式市場において1,000円で取引されているとしましょう。

この時に、X社の株を証券会社から100株借りてきて、株式市場で売却すると合計10万円になります。その後、株価が変動し、X社の株価が800円にまで値下がりしたところでX社の株を100株購入し、証券会社にその株を返却します。

すると、初めにX社の株を借りて10万円で売れたものを、のちに8万円で買い戻すことができたため、株価が値下がりしているにもかかわらず、2万円の利益が出ることになります。

このように、今後株価が値下がりすると予想している場合には、信用取引の「空売り」という方法を行うことによって、キャピタルゲインを獲得することもできるのです。

■現物取引と信用取引の違い:リスクが高い

現物取引と信用取引を行った際の2つ目の違いは、信用取引ではリスクが高くなるということです。例えば、A社の株を現物取引で30万円分購入した場合と、その30万円を元手に100万円分の信用取引を行った場合を比較してみましょう。

このA社の株価が購入してから10%上昇した場合、現物では3万円の利益が出ますが、信用取引では10万円もの利益がでることになります。

つまり、現物取引の場合は利益率が10%となりますが、信用取引では30万円の投資金額で1いう0万円の利益がでたので利益率は33%にもなります。

しかしながら、逆に株価が10%下落した場合には、現物取引では3万円のキャピタルロスで済みますが、信用取引を行っている場合には10万円のキャピタルロスとなります。

また、信用取引では、株価の値下がりが急激に生じ、証券会社に預けている投資資金以上の損失が生じそうな時には「追証」という追加で証拠金を預けるよう求められる場合や、それに応じられない場合には証券会社が勝手に決済をするという場合もあります。

それによって、信用取引では投資資金以上の損失を出してしまう可能性もあることには注意が必要です。例えば、先ほどの例に出したA社株が40%値下がりした場合、投資資金の30万円を失うのに加えて、10万円を証券会社に返済しなければならなくなります。

このように、信用取引を行った場合、少ない投資資金で多額の資金を動かすことになるため、大きなキャピタルゲインを獲得することができますが、逆に大きなキャピタルロスを経験してしまう可能性も十分にあることに注意をする必要があります。

■現物取引と信用取引の違い:投資期間とコスト

その他の現物取引と信用取引の違いとしては、投資期間やコストの違いというものもあります。現物取引の場合、自分のお金で投資をしているため何の制約もありませんが、信用取引では、6か月以内に返済をしなければならない場合が多くあります。

そのため、長期的な投資でキャピタルゲインを獲得したいという投資家よりも、より短期的なキャピタルゲインを獲得したいという投資家の方が信用取引に向いていると言えます。

■自分がとれるリスクや投資スタイルと相談しながら投資を

これまで説明してきたように、キャピタルゲインとは、株価の変動を利用して株の売買を行うこと得られる利益のことを指します。株価は短期間で大きく変動することがあるため、短期間で大きな利益を獲得できるというのが大きな魅力です。

このキャピタルゲインを獲得するための方法として現物取引と信用取引の2つの方法があります。

現物取引と比べて、信用取引は値下がり局面でもキャピタルゲインを獲得できるという大きなメリットがありますが、リスクが高いことや投資期限に限りがあることに注意が必要です。

そのため、例えば株の初心者であまりリスクを取りたくないという場合には、まずは現物取引で投資を行い、慣れてくれば信用取引にも挑戦してみるといったように、自分がとれるリスクや投資スタイルとも相談をしながらキャピタルゲインの獲得を目指していくことが必要になります。

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