【トレード上級者がつかう両建て売買】
みなさんは”両建て売買”をご存じでしょうか?
両建て売買とは、買い建て・売り建て両方のポジションをもつことです。
買い建ては株価上昇で利益が得られます。
一方、売り建ては株価下落で利益が得られます。
両建てを行うと株価の動きに関わらず、損益は発生しません。
互いの建玉がケンカしてしまうからです。
そのため、何も考えずに両建てを行っても手数料を損します。
では一体どのような使い方があるのか探っていきましょう。
【両建て売買のメリット】
- リスクを軽減できる
例えば「A社の株式を50,000株買って、半年間保有を続けたい」とします。
ロットが50,000株と大きく、株価が1円上下するたびに損益が50,000円動きます。
また、投資期間は半年間と長めです。
《長期投資》は相場の影響を受けやすいため、ロットが大きいとハイリスクハイリターンな投資となってしまいます。
そこで両建て売買の出番です。
50,000株の買い建てと同時に25,000株の売り建てを行います。
すると株価が1円上下した際の損益は25,000円です。
買い建てのみと比べ、両建ては株価下落のリスクに強みがあるといえます。
リスクと共にリターンも減りますが、《長期投資》の目的は達成できるでしょう。
- 含み損の拡大を防ぐ
両建ては同価格で建てる必要がありません。
買い建てをして、株価が下落し始めた際にも効果を発揮します。
「買い建てを保有し続けたいが、損切りはしたくない。」
そんなときは両建てをしましょう。
両建てをした時点で損失の拡大が防げます。
「リスクを軽減できる」「損失の拡大を防ぐ」2つのメリットに共通点があります。
気付かれましたか?
「買い建てを保有し続けたい」と、もう1つが「株価下落のリスクを抑えたい」です。
しかし、両建てはメリットばかりではありません。
【両建て売買のデメリット】
- 手数料がかさばる
買い建てと売り建て両方のポジションをとるわけですから、当然手数料がかさばります。
けれども、格安な手数料で売買できるネット証券が普及した2015年現在では、さほど気にならないかもしれません。
おかげで個人投資家の戦略幅が広がってきているといえます。
- 手仕舞いタイミングが難しい
両建ては売りと買い、2つのポジションを決済しなければなりません。
そのため、「どちらのポジションをいつ外すか」問題になります。
頭を悩ます部分ですが、避けては通れない道です。
【両建て売買を始めるには】
両建て売買は資金量が多いほど効果的です。
手数料がかさばりますし、買い増しや売り増しの戦略をとるからです。
信用取引である売り建てを行うため、最低でも30万円は用意しましょう。
【両建て売買で稼ぐ】
「両建てを用いてどうやって稼ぐか」
1.両建てをする目的を決めます。
- 相場やトレンドに合わせて、売り増し・買い増し戦略をとりたい
- 長期投資のリスクを減らしたい
- 含み損の拡大を防ぎたい
2.両建てをするタイミングを計ります。
例えば「相場やトレンドに合わせて、売り増し・買い増し戦略をとりたい」「長期投資のリスクを減らしたい」でしたら、同価格の両建ても考えられます。
「含み損の拡大を防ぎたい」については、後から反対のポジションを建てます。
3.ポジションの比率を検討します。
同価格で両建てをしてもポジションの比率によってとるべき戦略は変わってきます。
例.A社の株式を株価300円で両建てした。
「売り1:1買い」→株価の動きに左右されず、損益は発生しません。
「売り1:2買い」→買い建てが多いため、株価上昇時に含み益が発生します。
「売り2:1買い」→売り建てが多いため、株価下落時に含み益が発生します。
ここでポジションのとり方について参考になる手法を紹介していきます。
1つ目は《ピラミッティング》です。
《ピラミッティング》は買い増し(売り増し)の戦略で、最初に大きなポジションをとります。
トレンドに沿って買い増し(売り増し)を決行しますが、仕掛け株数は徐々に減らしていきます。
トレンドが反転した際のリスクを抑えるためです。
2つ目は《リフレクティング》です。
《リフレクティング》は手仕舞いの戦略で、最初に大きく手仕舞います。
トレンドに沿って手仕舞いを決行しますが、手仕舞い株数は徐々に減らしていきます。
《ピラミッティング》と《リフレクティング》。
2つの違いはトレンドに沿って、ポジション量を増やすか減らすかです。
トレンドが強ければ《ピラミッティング》、トレンドが弱ければ《リフレクティング》が有効だと考えられます。
相場によって上手く使い分けていきたいところです。
4.手仕舞いのタイミングを計ります。
手仕舞いは両建て1番の難所です。
「いつ・どちらの建玉を・何株・何回に分けて」
上記4つを考えねばなりません。
慣れないうちは、買い建て・売り建て両方で損失を出してしまうことがあります。
そのため、手仕舞いタイミングの検討は1番時間を費やしたいところです。
【実際のチャートで解説】
上図は2015年の日経平均株価日足チャートです。
ア~イのラインをみてください、上値抵抗帯になっています。
このときアは直近高値となります。
ア~イの間に同価格で両建てを行ったとします。
イでもし高値更新した場合、買い建てを増やすか売り建てを減らすことが考えられます。
高値更新はトレンドが強いと判断できるからです。
今回は高値更新に失敗したので、売り建てを増やすか買い建てを減らします。
すると暴落に乗じて利益が見込めます。
高値更新の失敗は弱気であり、投資家の落胆もうかがえます。
トレンドが転換したと考えるべきでしょう。
【両建て売買のまとめ】
- 両建て売買は株価が予想と真逆に動いた際、リスクを軽減できる
- 含み損の拡大防止にもつかえる
- 手仕舞いタイミングは難しい