暴落相場とは上場銘柄大半の株価が大幅かつ急激に下落した状態を指します。
全面安と呼ばれるような状態を指しており、特定の銘柄が下落した状態を指すわけではありません。
また《パニック相場》が市場の混乱状態を指すのに対し、暴落相場はあくまで株価の動きを指しています。
株価が大幅かつ急激に下落した際に投資家心理に影響を及ばすことから、時に暴落相場が引き金となって《パニック相場》に発展していく場合もあります。
パニック相場への発展
《パニック相場》は市場の混乱状態を表し、売りが売りを呼ぶような展開となります。
【売りが売りを呼ぶような展開とは】
株価暴落によって突然の含み損を抱えた投資家は保有している株式を次々と投げ売りしていきます。
投げ売りによって再び株価暴落が発生します。
この株価が下がるから売る、売るから株価が下がるという循環が市場の混乱を招き、《パニック相場》の原因となります。
故に暴落相場から《パニック相場》に発展することも十分に考えられるでしょう。
まとめ
- 暴落相場は株価が大幅かつ急激に下落した状態であり、かつ全面安のような状態である。
- 暴落相場はパニック相場と違い、株価の動きを指している。
- 暴落相場からパニック相場に発展する場合もある。
詳細と具体例
暴落相場は株価が大幅かつ急激に下落した状態に加えて、全面安のような状態であることが条件となります。
全面安とは上場しているほとんどの銘柄が値下がりしている状態です。
ではほとんどの銘柄とはどの程度の銘柄数を指すのでしょうか。
そこで値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率が分かるテクニカル指標に《騰落レシオ》という指標がありますので見ていきましょう。
【騰落レシオの求め方】
騰落レシオ=n日間の値上がり銘柄数÷n日間の値下がり銘柄数×100%
*一般的に期間は25日間を採用します。
【騰落レシオの見方】
100%を基準とし、100%よりも大きければ値上がり銘柄数が多い、100%よりも小さければ値下がり銘柄が多いことになります。
例.
騰落レシオ100%→値上がり銘柄数=値下がり銘柄数
騰落レシオ110%→値上がり銘柄数>値下がり銘柄数(値上がり銘柄数が値下がり銘柄数よりも10%多い。)
騰落レシオ90%→値上がり銘柄数<値下がり銘柄数(値下がり銘柄数が値上がり銘柄数よりも10%多い。)
騰落レシオの求め方と見方を確認したところで、検証ソフトを用いて騰落レシオ(2日間)の値が5%未満の日を調べてみました。
その結果、2つの該当日がありました。
(仕掛け条件:[東証1部騰落レシオ(2)]が[5]より[小さい]場合、[翌日寄付]で[買い]を仕掛ける)
(検証期間:2000年1月4日~2015年8月4日)
検証期間は15年7ヶ月に及び、該当日が2日間しかなかったということは稀な事象であると考えられ、全面安のような状態であると判断することができます。
2つの該当日の内、1つを紹介していきます。
仕掛けシグナルは2011年3月15日に発生しました。
その2営業日前である3月11日は東日本大震災が訪れた日です。
震災の被害を危惧した投資家がありとあらゆる株式を手放したのではないかと考えられます。
全面安のような状態に該当する日を特定しましたが、該当日の株価は大幅に下落した状態であったかを確認していきます。
こちらも検証ソフトを用いて、TOPIXの終値がボリンジャーバンド(25日間)-3σよりも小さい日を調べてみました。
その結果、21個の該当日がありました。
*日経平均株価を対象に検証を行いますと、寄与度の高い銘柄が大幅下落した際に大きな影響を受けるため、ここでは東証株価指数であるTOPIXを採用して検証を行っています。
*ボリンジャーバンドは標準偏差を用いた指標ですから、株価がバンドの下限(-3σ)を割った場合、通常の下落幅とは異なる大幅な下落と考えることができます。
(対象銘柄:TOPIX)
(仕掛け条件:[終値]が[ボリンジャーバンド(25,-3σ)]より[小さい]場合、[翌日寄付]で[買い]を仕掛ける)
(検証期間:2000年1月4日~2015年8月4日)
検証期間は15年7ヶ月に及び、該当日は21日間となりました。
先程の検証で発生した仕掛けシグナルと同じ2011年3月15日が含まれていました。
東日本大震災が訪れた2営業日後です。
震災の影響によって騰落レシオが5%未満に、TOPIXの終値がボリンジャーバンド(25日間)-3σより小さくなった事実が判明しました。
ボリンジャーバンドの-3σに収まる確率は99.7%ですから、0.3%の確率で発生する事象が現れたことになります。
図では黒のラインがボリンジャーバンドの-3σとなります。
図は期間3ヶ月間の日足チャートを用いていますが、-3σを割って株価が下落しているのは震災直後のみだと分かります。
そのため、株価は通常の下落幅とは異なる大幅な下落だったと考えることができます。
全面安のような状態と株価の大幅な下落の2つの条件が揃ったので、2011年3月15日は暴落相場といえるでしょう。
詳細と具体例のまとめ
- 全面安を判断する際には騰落レシオという指標がある。
- 暴落相場は株価が大幅かつ急激に下落した状態に加えて全面安のような状態であるという2つの条件が必要となるため、頻繁に発生するものではなく極めて稀な事象といえる。