■たこ足配当とは
たこ足配当とは、一般的には企業が配当を出すための原資となる利益やキャッシュインフローが十分に獲得できていないにもかかわらず、過剰な配当金を出すことを指します。
例えば、本来であれば、企業が利益を生み出すために、新しい設備への投資や、研究開発などにお金を使った方がよいにもかかわらず、多くの配当金を出し、高い配当利回りを実現することで、株価を維持しようとすることなどたこ足配当になります。
■たこ足配当の問題点
配当利回りの高い銘柄は個人投資家から人気があり、それゆえに株価も高くなりやすいとされています。そのため、たこ足配当によって株価が上がるのであれば、株主にとってそれほど問題ではないと思われるかもしれません。
しかしながら、「企業が多くの配当金を出す」ということは、「企業が設備投資や研究開発、広告費などの必要な活動に使えるお金が少なくなる」ことに注意が必要です。そして、この設備投資や研究開発などは企業が長期的に成長していくためには必要なものなので、こうした活動に資金を投入せず、投資家に配分するということは、その企業が長期的な成長を諦めている、ということを示唆しています。
そのため、たこ足配当をしている企業の株価は、過剰な配当金によって一時的には人気がでるかもしれませんが、長期的には業績が悪化して、株価が低迷する可能性が高いと言えるでしょう。そのため、高い配当利回りに釣られて投資をするのではなく、その高い配当がしっかりとした利益に基づいているのかをしっかりと分析する必要があります。
■投資信託での問題点
また、こうした企業における「たこ足配当」と同じことが、投資信託でもしばしば行われています。
例えば、「毎月分配型」と言われる、毎月一定額の配当金を出資者に還元するという投資信託商品の中には「たこ足配当」を行っているものもあるので注意が必要です。もちろん、「毎月分配型」の投資信託であっても、毎月、運用益を出してその一部を出資者に還元していれば問題はありません。
しかし、毎月安定的に運用益を出すことは非常に難しく、時として利益がでない、もしくは損を出してしまった、ということがあります。
そんな時にでも出資者に配当金を出していると、その投資信託全体での運用資金がどんどん減少していき、ますます出資者に多くの分配金を提供することが難しくなってしまいます。
例えば、1万人の出資者に毎月100円を分配する場合、毎月平均して100万円以上の利益を出す必要があります。
この時、運用資金が総額で10億円ある投資信託と、運用資金が1000万円しかない投資信託のどちらが平均して月100万円以上の利益を出しやすいかを考えればこのことはわかるでしょう。
これは大げさな例えですが、運用資金が少なくなれば、多くの利益を得ることが難しくなり、それゆえに出資者に分配できる金額も少なくなってしまいます。
こうしたことを考えると、「毎月分配型」の投資信託に投資を検討する場合は、企業の時と同様に、慎重にそのパフォーマンスを分析する必要があります。