一夜成金一夜乞食

株式投資をしている方であれば、よく雑誌や経済番組で株価予想をするアナリストを目にすることでしょう。
彼らはその道のプロですが、その予想が必ず当たるとは限りません。
マーケットには不確定要素が多く、時間のスパンが長くなればなるほど未来を予想することは難しくなります。
そういったプロのアナリストでさえ当てることが出来ないのですから、我々が株価予想をすることがいかに難しいのかは目に見えて分かると思います。
それほど相場の世界というのは難解で、次になにがやってくるか分からないものなのです。

■「一夜成金一夜乞食」とは

マーケットには何が起こるか分からないことを表した相場格言として、「一夜成金一夜乞食」があります。
一夜で大きな財産を築くことも出来れば、その逆に一夜にして資産を失ってしまうこともある、という意味の格言です。
似た言葉に「どか儲けすれば、どか損する」というものがあり、これも同じく大きく儲けたあとには大きく損をする可能性がある、ということを言い表しています。

株式投資において重要なのは、未来永劫あるであろう相場において退場せずに生き残り、その中で利益を積み重ねていくことです。
当然「一夜成金」のように大勝できればよいに越したことはありませんが、ギャンブル的な張り方をして勝ったとしても、そのやり方を続けていれば必ずいつか大きく負ける時が来るでしょう。
「世紀の相場師」と呼ばれた伝説のトレーダー、ジェシー・リバモアは小さい頃から株式投資を始め、弱冠24歳の時に数十億という巨額の富を築き上げました。
彼はその後、破産と勝利を繰り返していき、最終的には資産を残したまま自分で命を絶つこととなりました。

リバモアは多くの失敗から自らの取引手法を作り上げ、破産しても何度も復活を遂げてきたトレーダーですが、そういった実力者でも何かのはずみで大損を被ってしまうことがあるのです。
例え大きな富を短期間で得たとしても、それを驕らず謙虚にトレードを行っていくことが重要になるでしょう。

■安値で買い、高値で売り抜ける

相場には必ず波があり、日本市場を見ていても数か月~半年ほどに数回、株価が数倍になる銘柄も存在します。
安値から10倍になった株を「テンバーガー」などと言いますが、それに乗れれば資産は劇的に増えることになります。
本来株価というのはゆっくりと時間をかけ市場の評価を受け上がり下がりしていくものですが、短期的に暴騰する銘柄は短期の需給、大口の資金流入により株価が短い時間でトぶわけです。
そういった銘柄の売買を推奨するわけではありませんが、その時のチャートを確認しておくことで、次に来る波に対し準備をしておくことが出来るかもしれません。

これは過去におよそ半月で暴騰をした銘柄の日足チャートです。
このように株価が上がるのであれば何かとてつもない好材料が出たと考えますが、実際にはそうではありませんでした。
材料は出るには出ましたが、ここまでの暴騰をするには至らないものです。
ヘッジファンドの大きな資金が入り、連日寄らずのストップ高を繰り返した後に、大口によって株価が釣り上げられる…いわゆる「仕手化」ですね。
そしてその後高値をとった後に大口が売り抜け、個人投資家は見事高値掴みをして損をする、というケースです。

これを初動からとれればかなりの資産増加となりますが、それは非常に難しいです。
こういった相場は馬鹿になってホールドをしたもの勝ちとも言えますが、「頭と尻尾はくれてやれ」というように、欲張ら過ぎずに売り抜けることを意識したいものです。

チャートを見れば分かる通り、タイミングを間違えれば暴落に巻き込まれてしまうことも考えられるわけです。
夢のある株価推移ではありますが、「一夜成金一夜乞食」という格言を忘れず、自分には合わないと思ったら売買をしないのが正常な判断だと言えます。

■正しく負けることが大事

「一夜成金一夜乞食」にならないためには、正しく負けることが重要です。
どんなトレーダーであっても負けたことのない人はいないでしょう。大事なのはその負けから何を学ぶかだと言えるでしょう。
ルール通りに売買をして負けたのであれば、そのルールをより精巧なものに磨き上げていけばよいのです。
株式投資において「欲」というものはどうしても生まれがちです。
しかし、誤った取引で「一夜乞食」になることを避けるように自分のトレードの質を上げていくことこそが、長い目で見て大きな資産を築き上げることにつながるでしょう。

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