登り百日、下げ十日

株価がどのように上昇し、そしてどのように下落するのか…
取引をする際にそういった未来の株価推移を予想することは非常に重要です。
しかし先のことを100%当てるのは難しいのが現実だと言えます。

ある程度将来のことを予測するには、過去に起きた状況を踏まえ、そこからの反省を活かしていくことが必要でしょう。

■「登り百日、下げ十日」とは

前述したように、株価の動きをピンポイントで当てることは困難ですが、過去の動きからある程度の予測をしたり、過去のアノマリーに学んだりすることは可能です。

株価の値動きを表す格言に、「登り百日、下げ十日」という言葉があります。

これは文字通り株価が上がっていくのに100日、下げるのに10日、ということですが、「上がるのはゆっくりだが下がるのは早い」という意味を持っています。

また、有名な相場格言に「相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」というものもあります。

株価が上昇、その後じわじわと上がり続け、それが後発の買いを呼び高値圏に至るものの、売り需要が大きくなり株価は下がっていく…という意味ですね。

株価が上がっているときは売りをこなしながら、新たな買い需要を燃料としつつじわじわと上がっていきます。

上昇トレンドに入ったのを確認してから「もっと上がりそう」と考える人が新たな買いを入れ、更に株価は上昇。そしてゆっくりと上がり続けた株価は一定水準になると買いと売りのバランスが入れ替わり、天井となります。

一度売りが出ると利益確定の売りが高値掴みしてしまった人のロスカットを巻き込み一気に下落…というのが「登り百日、下げ十日」のシナリオです。

上の画像の銘柄はじわじわと上がっていった後、参加者の大半が予想していなかった悪材料が出たことにより連日ストップ安に。

さすがにこれは極端ですが、多くの人が急な下げに対応出来なかったひとつの例として挙げられるでしょう。

■「天井三日、底百日」――下がるのは早く、再び上昇するのには時間がかかる

また、「登り百日、下げ十日」に似た言葉として「天井三日、底百日」というものがあります。株価が天井にあるのは3日、底は100日――つまり一度下がってしまった株価は上がりにくい、という意味です。

底値圏にあるのが100日、なので再び上がるのに時間がかかってしまう、ということですね。

株価は出来高の多い水準と出来高の少ない水準が存在します。その株価帯での出来高が多ければ多いほど、たくさんの投資家がそこでポジションを持ったことになりますね。

「価格帯別出来高」を見ると、どの価格帯で出来高が多いのかを知ることが出来ます。
出来高が多い価格帯では利益確定や損切りの動きが増えることになりますから、そこはひとつの節目になる可能性が高いと言えるでしょう。

株価が上がったあと、377円を天井に頭打ちとなり300円あたりまで下落していますが、350円近辺での出来高が多くなっています。350円での出来高が多いということは、株価が再び350円まで上昇するとそこで損失が0円になった人たちの売りが出てくることが予想されます。

高値掴みが多く、かつ出来高の多い価格帯のことを「しこり」と呼んだりしますが、これが株価が下がったあと、その後上がりにくい要因のひとつとなります。

上がるときのエネルギーは強くても、下げたあとに再び上げるのにはそういった売りを超える勢いが必要となるのです。

「天井三日、底百日」は株価下落がしこりを作ってしまい、その後株価が上がりにくくなる…ということを表しているというわけです。

そういったしこりをこなして上昇していくのには時間がかかります。そうして「登り百日、下げ十日」という状況になることが多い、ということですね。

■格言から過去の相場の動きを知ることが出来る

こういった相場格言はあくまでもそういった状況が過去にあった、ということを表しているだけで、先に全く同じような状況が起きるとは限りません。

ただ過去の相場の動きを知っておくことで、不用意な取引を避け、チャンスを見極める相場の勘が鍛えられてくると思います。

株式取引で勝つためには相場を学び、反省を活かしていくことが重要です。今回見てきたような格言はその一助となることでしょう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする