投資を行うにあたり、毎日変化し続けるマーケットの中に対応するために適時学習を行っていくことは重要であると言えます。
本、ネット、新聞…など、情報媒体にも様々なものがあり、人によってどれを見るかも異なってくることでしょう。
ただ、そういった知識を持っていたとしても、相場で勝ち続けることが出来るとは限りません。
■「知識は本でも学べるが、勘は実戦で強くなる」とは
相場格言のひとつに「知識は本でも学べるが、勘は実戦で強くなる」という言葉があります。
文字通り、本を読むことで知識は身に付くものの、実際の投資の勘は実戦を通してしか得られないという意味です。
投資の世界というのは本当に奥が深く、テクニカル派、ファンダメンタルズ派、どういった銘柄を購入し、どう売買するか、その方法も様々。
もちろん知識をつけることも重要ですが、それよりもっと大事なのは実際に身銭を切ってトレードを行う、ということでしょう。
本を読むことで「実際の投資でも勝てるようになる」と考える投資家は多いでですが、人間の心理状況というのはお金が関わってくるとぶれやすくなり、特に自分の想定していなかった状況が発生したり、損失が大きくなったりすると誤った行動をとりがちです。
また、他のトレーダーの売買動向が確認できる「板」「歩み値」といった情報は本などではなかなか確認しづらく、実際に自分の目でそれを確かめることが重要であると言えるのではないでしょうか。
投資において重要なのは「再現性」、つまりこれなら勝てるという方法を次に来るであろう似た状況で活かせるか、ということです。
実戦を通して勘を磨いていくなかで、再現性のある投資手法の確立を行っていくことが出来るようになるでしょう。
■もともと人間は投資行動には向いていない
先述したように、本で学んだ投資と実際に行う投資は大きく異なるものであると言えます。
株価や自分の資産が変動する中で冷静な判断が行えるか、ルール通りに機械的にトレードを行えるか、ということが大事になりますが、人間の本能はこれに逆らう性質を持っているのです。
心理学・経済学両方の視点をもった「行動経済学」には、「損失回避」という考え方があります。
人間は同じ値段のものであったとしても、得をする場合より損をする場合の方を嫌うというものです。
投資の場合に当てはめれば、5万円を得るより5万円を失ってしまう方にストレスを感じてしまうということですが、こういった人間の本能が少ない利益確定、大きい損切りを促す原因となってしまうというわけです。
損失が発生するとストレスを感じながらも「もう少したてば戻るのでは」という淡い期待を持ち、更に損失が膨らんでやっとそれに耐えられずポジションを切る。そういった経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。
■大事なのは自分の考えを柔軟に変化させていくこと
おそらくどんな方でも、株式投資を始めたころとしばらくたった後では投資に対する考え方が大きく異なっていると思います。
その中でトレードに対する「勘」や「感覚」といったものも変わってきているでしょう。
トレードでは自分のルール通りに売買を行うことが重要ですが、「ルール」「ロジック」などとは相対する言葉である「勘」も非常に重要なものなのです。
地合いや相場環境は文字では語れない動きをすることもあります。長くトレードを続けていると、「何だか下げそうな雰囲気だ」というような感じ方をした方も多いのではないでしょうか。
この雰囲気というのもマーケットと同じく変化し続けるものであるので、本を読んでいるだけではなかなか読み取ることが難しいと言えます。
「知識は本でも学べるが、勘は実戦で強くなる」…
「勘」「雰囲気」といった抽象的な言葉に焦点を当てて見てきましたが、「具体化できないものを考慮していくことも株の世界では大事である。」この相場格言はそういったことを言い表しているのではないでしょうか。