逆日歩

■逆日歩とは

逆日歩とは、逆日歩というのは、株を他の投資家に貸すことで得られる貸株料のことを指します。

逆日歩を理解するためには、空売りについて理解しておく必要があるので、コラムの他の記事でも紹介していますが、空売りについてもう一度簡単におさらいしておきましょう。

空売りとは、投資家が証券会社から株を借り、市場で売却した後、その株を買い戻して、証券会社に返却することで、その売却価格と買い戻し価格の差額をキャピタルゲインとして得るという投資の手法でした。

では、この投資家が借りる株を証券会社は一体どこから調達しているのでしょうか。

一つの調達先は、証券会社が保有している株です。証券会社は自分たちでも株の取引を行い、利益を出しているので、各企業の株を保有しています。そのため、投資家から空売りの注文が入った際に、証券会社はまずは自分たちが保有している株を貸し出すことになります。

しかしながら、証券会社が保有している株には限りがあり、必ずしも全ての空売り注文に対して各証券会社が保有している株で対応できるとは限りません。

そのため、証券会社が保有している株数以上の空売りの注文が入ってしまった場合、証券会社は他の証券会社に手数料を支払って株式を調達をすることで、空売りの注文に対応をしています。そして、この手数料を証券会社は空売りを行った投資家に対して請求をしています。

このいわば、貸株料ともいえるものが逆日歩と言われるものです。ただし、信用買いをしている投資家は、株の貸し手でもあるため、逆日歩を受け取ることができます。

■逆日歩で儲ける方法

このように、投資家が信用売り(空売り)をしている場合や、信用買いをしている場合には、逆日歩というものが発生します。そして、逆日歩は信用売り(空売り)をしている場合にはコストとなりますが、信用買いをしている場合には収益として獲得することができるのです。

別のいいかたをすれば、逆日歩が発生しそうな株を信用買いすることで、株価の変動とは別に利益を出すこともできることになります。

■逆日歩の注意点:取引時間が終了するまで分からない

逆日歩に関する一つ目の注意点は、逆日歩が発生するか、またその手数料がいくらになるのかについては一日の取引が終了するまで分からないという点です。

もちろん、証券会社の株取引の画面には信用売りと、信用買いの状況についても表示されていることが多いため、逆日歩が発生しそうかどうかについて予測を立てることができます。

しかしながら、証券会社が外部から株を調達した際の手数料は、その株の空売りをした全ての投資家に対して請求されるので、1日の取引が終了し、最終的な需給が確定するまでは逆日歩の値段がいくらになるのかまでは未確定であることには注意が必要です。

■逆日歩の注意点:貸してる or 借りてる期間中は毎日発生

もう一つの注意点は、同日中に決済した銘柄については逆日歩は発生しないけれど、そうでない場合は空売りの株数が信用買いの株数を上回っている限り、その株を借りている、もしくは貸している期間中は毎日、逆日歩が生じることです。

例えば、ある企業の株を1000株空売りし、逆日歩が1株1円発生した場合、仮に5日間借り続けていた場合は、それだけで5000円のコストがかかってしまう計算になります。

もちろん、逆に信用買いをしている場合には、株価の変動とは別に5000円の収益が出ることにもなります。

また、この貸している期間や借りている期間というのも曲者です。実は株の受け渡しには3営業日必要となりますが、逆日歩はその営業日にかかわらず毎日発生するのです。

どういうことかより具体的にお話しましょう。仮に、月曜日に空売りを行い、その週の金曜日にその株を買い戻し、返却したとしましょう。この場合、空売りしてから返却するまでの期間は取引上は月曜から木曜までの4日間となります。

しかしながら、実は株の受け渡しには3営業日かかるため、月曜日に空売りした株は木曜日に株の受け渡しが行われます。

そして、金曜日に買い戻しの注文を出した場合、土日を挟んで3営業日の水曜日に株の受け渡しが生じます。そのため、実際には木曜日から水曜日までの6日間株を借りていたことになります。

そして、逆日歩はこの借りていた期間に応じて発生するので、その金額も6日分必要となることになります。もちろん、逆に信用買いの場合は4日間の取引期間で、6日分の逆日歩を受け取ることができるということも意味しています。

このように、逆日歩は取引上の株を借りている、もしくは貸している期間とはズレが生じる可能性があることに注意が必要です。

■「逆日歩に買いなし」と「逆日歩に売りなし」

さて、ここまで逆日歩で儲ける方法とその注意点について説明してきましたが、実は投資の世界には「逆日歩に買いなし」という格言があります。

逆日歩が生じるということは、空売り(信用売り)が多く発生しているということを意味します。つまり、世の中の投資家の多くがこの株は値下がりする、と予想していることになります。そのため、逆日歩が生じている株は買わない方が良い、と言われているのです。

しかし、その一方で実は「逆日歩に売りなし」という格言もあります。逆日歩が発生すると、空売りをしている投資家は逆日歩を払いたくないので買い戻すという行動をとりやすくなります。

そのため、逆日歩が発生している株には買い注文が多くなりやすく、株価が上がりやすいため、売らない方が良い、と言われているのです。

この2つの格言は一見矛盾しているように思えますが、短期と長期という2つの目線で考えれば納得がいきます。つまり、短期的には逆日歩を払いたくない投資家がその株を買い戻すという行動をとり、株価が上がりやすくなります。つまり、「逆日歩に売りなし」です。

しかし、長期的には、やはり株価が下落すると予想するだけの材料があるはずなので、空売りしていた人たちの買い戻しがひと段落すると、株価が下落していくことになります。そのため、「逆日歩に買いなし」となるのです。

このようにして考えると、逆日歩を利用して儲ける場合には、短期的な取引で儲けた方が賢明だと言えるでしょう。そのため、投資家の方は自分の投資スタイルが短期的な投資なのか、長期的な投資なのかをしっかりと判断して、逆日歩を狙うかどうかを決めることが必要となります。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする