株主優待

■株主優待とは

株主優待とは、企業が一定数以上の株式を保有している株主に対して、年に一度か二度ほど物品やサービスを提供するものを指します。

この物品やサービスは企業によって個性があり、自社製品や自社サービスの割引券、金券、普段は関係者以外入ることのできない工場の見学会への招待など内容は多岐にわたっています。

こうした株主優待の中で特に有名なのが全日本航空(ANA)の株主優待です。ANAは株主に対して、国内路線の片道普通運賃の50%割引券を配っています。

例えば、東京の羽田空港から北海道の千歳空港までの航空券代は通常は4万円前後なので、株主になってこの割引券を利用すれば、2万円近く安く旅行できることになります。

また、自分では旅行しないという方はこの株主優待券を金券ショップやオークションサイトで売れば5,000円ほどになるので、こうした方法で現金化するという方法もあります。

他にも、例えば吉野家は株主に商品代金の割引に使える300円サービス券10枚を半年に一度配っていたり、マクドナルドもバーガー類やサイドメニューなどの商品引き換え券が6枚入った優待食事券1冊を半年に一度配ったりしています。

このように、株主優待を使えば、日々の生活をよりお得に過ごすことができたり、またその株主優待自体を売却して現金化して利益を獲得するなどの魅力があります。

■株主優待の受け取り方

では、この株主優待はどのようにして獲得することができるのでしょうか。

基本的には、株主優待を受け取る方法は、現物取引で配当金を獲得する方法と同じです。株主優待をもらうことのできる株主も配当金と同様に「権利確定日」に株主の名簿に記載されているかどうかで決まります。

そのため、「権利確定日」の3営業日前の「権利付き最終日」までに株を購入し、「権利落ち日」になった時点で株を保有していれば、およそ3か月ほどで家にまで株主優待が送られてきます。

権利確定日は証券会社のHPなどでチェックすることができるので、株主優待目当ての株を購入する場合には必ずチェックしておきましょう。

■株主優待の注意点:「権利落ち日」に株価が下がりやすい

株主優待で儲けようと思った場合に注意すべきなのは、「権利落ち日」に株価が下がりやすいということです。先ほど説明したように、「権利落ち日」になった時点で株を保有していれば、配当や株主優待を受け取ることができます。

そのため、配当や株主優待目当ての投資家の多くがこの権利落ち日に株を売却してしまい、株価が下がるという現象が生じます。

それゆえに、株主優待で6,000円分の食事券を受け取ることができたのに、株価の変動でそれ以上のキャピタルロスになってしまい、結局は何もしない方がよかったということになりかねません。

このように、権利落ち日には株価が下がりやすいので、過去の権利落ち日の値下がり具体をチェックしたり、そもそも株価の変動が気にならないよう長期保有にするといったように、対策を練っておく必要があります。

■株主優待の注意点:株数によって受け取れる株主優待が異なる

株主優待で儲けることを考える際に注意しなければならないことの2つ目は、所有する株式数と、もらえる株主優待の量が比例するわけではないということです。

例えば、先ほどの例に出した吉野家は所有する株数が100株~999株の場合は半年ごとに300円サービス券を10枚(年間6,000円分)、1,000株~1,999株の場合は半年ごとに20枚(年12,000円分)となっています。

つまり、吉野家の株を100株持っていても、200株持っていたとしてももらえる株主優待は同じとなってしまい、所有する株数を増やせば増やすほど、利益率が減っていくことになってしまいます。

そのため、例えば吉野家の株主優待を多くもらいたい場合には、一人が200株を購入するのではなく、夫婦で100株ずつ購入するというように、株主を分けて少額ずつ購入することをお勧めします。

■株主優待の注意点:信用取引では株主優待をもらうことはできない

株主優待で儲けることを考える際に注意すべきことの3つ目は、信用取引で株を購入しても株主優待を受け取ることはできない、ということです。

信用取引は、キャピタルゲインを説明した時に詳しくお話ししましたが、投資家が証券会社などから資金や株を借りて投資を行うことを指します。そのため、投資家は実際の株式の所有者として登録されません。

したがって、信用取引で株式を購入した場合には株主優待をもらうことができないことに注意してください。

■より詳しく株主優待について知りたい方へ

ここまで簡単に株主優待がどんなものかや、その受け取り方法、注意点について説明してきましたが、別のコラム記事でそれぞれについてより詳細に説明しています。

もし、この記事を読んで、株主優待について興味を持たれた方は、ぜひともそちらのページも参考にしてみてください。

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