株式取引において、ほぼすべての人がチェックしてもよいと言えるのがチャート。
テクニカル分析を使う人たちは、チャート上にラインを引いたり、過去のチャートを参考にしたりして、ある程度の株価予測を立てます。
過去の値動きから「トライアングル」「ゴールデンクロス」といったある程度の法則性を見出し、それが将来に起きることを予測しつつ売買をしていくわけです。
■「鬼より怖い一文新値」とは
株価が将来どのように動くか? それを100%当てることは非常に困難なことです。
ただ、過去のデータや分析によって自分なりの予想を立てたり、かつての株価推移に学んだりすることは出来ますよね。
今回紹介する「鬼より怖い一文新値」という格言は、株価が高値更新をしたあとそのまま上抜けを果たせないと、それが天井となり株価が下落する可能性がある、という意味のことばです。
「一文」は昔のお金の単位、「新値」は読んで字のごとく「新高値」を表しています。
これに相反する考え方としては「高値のブレイクアウトで買う」というものがあるでしょう。
株価が上値抵抗線を突き抜けたところで、そのまま更なる高値を目指し株価が上伸していく、という考え方です。
一度ブレイクアウトした後に、再びそのラインを下回って推移してしまう…これが「ダマシのブレイクアウト」というものです。
いずれにせよ、高値更新というのはその銘柄にとって重要な意味を持ち、その後株価がどうなるかを占うポイントであると言えるでしょう。
「鬼より怖い」と言われるくらいなのですから、高値更新したからといって安易に飛びつくことだけは避けなければなりません。
■一文新値をつけた後、下落トレンドとなる例
次の画像はある銘柄の週足チャートです。
じわじわと上昇トレンドになり、高値をつけた後一旦下落。その後再び高値をつけるも、そのあとは大きな陰線が出て下落トレンドとなっていることが分かると思います。
高値更新が「鬼より怖い一文新値」となる例によくある特徴としては、「じわじわと上昇トレンドが続いたあと、上方向にオーバーシュート(行き過ぎ)のあと大きな売りがでる」というものがあります。
期待感で買われ、その後高値を更新しているのを見て値動きに釣られた別の投資家が入ってくる。そのようにして高値が形成されたあと、利益確定や売り崩しによって高値圏で買った投資家の損切りなどを巻き込み、下げに転じるという流れです。
■「一文新値」でどう儲ける?
しかし一文新値にはチャンスも眠っています。これまで上抜けなかった高値を超えるのには株価上昇のエネルギーが必要となります。
エネルギーを伴って上げるのには何かしらの背景があるわけですから、そういったことを踏まえて一文新値を上手く利用することが上達につながるでしょう。
例えばこのチャートでは、前回高値を超えた後大きく上昇をしています。このように株価が大きく上昇した後、そのまま上値が定着するかどうかという判断材料のひとつに出来高が挙げられるでしょう。
次の画像は同期間のチャートに、出来高をつけたものです。
大きく窓を開けて上昇したとき、出来高も非常に大きくなっているのが分かると思います。
出来高が大きいときは買いも売りもそれまでより多く出ているということですが、その需給を踏まえたうえで大きく上がっているのですから、上方向へのエネルギーが強いということになります。
ローソク足を見ると上ヒゲのときもあるように、売り圧力が強い場合もあるのですが、それをこなしつつも強さを見せている、というのがこの例の特徴です。
ここまで見てきたように、「一文新値」はリスクもありつつ、可能性も秘めた価格帯であると言えます。
ブレイクアウトをした後どこで売るか、ということも重要ですが、こういった一文新値をつけた銘柄を観察してみることで相場観を広げることが出来るようになるでしょう。