風説の流布

■風説の流布

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風説の流布とは、株価などの変動を操作するために、嘘の情報などを流すことを指します。例えば、一般的に企業が買収のターゲットとなると、その企業の株価は上昇します。そのため、自分が保有している企業の株価を上げるために、その企業が「買収のターゲットになることが一週間後に新聞で発表される」などの実際にはありもしない話をインターネット掲示板などに書き込むといった行為が、風説の流布にあたります。

■風説の流布は10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金刑に

企業の株価は本来であればその企業の経営状況や将来性といった、いわば企業の実力を反映したものとなっているべきだと考えられています。しかし、こうした虚偽の情報が世の中に氾濫してしまうと、株価が企業の実態を表さなくなってしまいます。このように、風説の流布は株式市場の健全性・信頼性を損なわせることから、金融証券取引法で禁じられています。違反をした場合には、10年以下の懲役、または1000万円以下の罰金が科せられます。ここで、1000万円以下の罰金であれば、風説の流布によって1000万円以上儲けることができれば、最終的には利益がでるな、と思った方もいらっしゃるかもしれません。しかし、もちろんそんなことはありません。風説の流布によって獲得した利益は同じく金融証券取引法に基づいて没収されることとなっています。

■風説の流布で有罪判決を受けた判例

実際に風説の流布で捕まってしまった例に、ある会社の社長が自社の株価を高めるために、新たに発行した社債の発行総額がまだ実際には払い込まれていないにもかかわらず、払込みが完了したという虚偽の事実を公表したものがあります。その結果、その社長は懲役3年6か月、罰金200万円の刑が科せられることになりました。
また、他にも個人投資家が風説の流布で捕まった例として、広島県の無職の男性がネット上で、株情報を求めるメール会員を募集し、その会員向けに嘘の情報を流した例があります。彼は、企業の重要情報を握る人物と親密なため株価動向を知る立場にあるとしたうえで、「会社の存立を左右する悪材料があるから、明日の寄り付きで売り注文を出して」と虚偽の情報をメールで流し、さらに翌日、取引開始後に「悪材料の情報は誤りだったので買い戻して」と虚偽の情報を再度流したのです。これによって、その広島県の男性は会員の売り注文によって安値になった株を購入し、買い注文が出て株価が上昇した際に売り抜け、数十万の利益を得ました。しかし、最終的には風説の流布で立件され、罰金30万円、追徴金36万6千円が科せられることになっています。

■ブログやネット掲示板に予想を書き込むのはOK?

もしかしたら、投資を行っている人の中には、自分のブログやネット掲示板などで、株価予想や今後上がりそうな注目の銘柄といった形で、株価に影響しそうな情報を書き込んでおり、これは風説の流布になってしまうのか、と心配になった人もいるかもしれません。しかし、もしそれが事実に基づいた推測を書き込んだのであれば、風説の流布にはならないのでご安心ください。風説の流布に当たるのは、(1)合理的な根拠のない事実やうわさを、(2)不特定多数の人に伝達される状態にする場合です。ブログやネットで予想を書き込むことは、(2)には該当しますが、根拠もなく「あの株は上昇するぞ」などと書き込まなければ問題はありません。実際に、風説の流布を監督している証券取引等監視委員会では、企業に関する健全な意見交換自体は問題ないとしています。そのため、ブログやネット掲示板などで株の議論をする際には、しっかりと事実に基づいた情報を書き込むようにしましょう。

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