テクニカル分析とは

■テクニカル分析とは

テクニカル分析とは、株価の動きを時系列で記録したチャートと言われるものを分析して、株式の売買のタイミングを決定する方法のことをさします。

テレビなどで投資家がパソコンの画面に映った折れ線グラフのようなものを眺めているシーンを見たことがあるのではないでしょうか。その折れ線グラフがチャートと言われる株価の動きを示したものです。

テクニカル分析を行う場合には、日々刻々と変化するチャートの動きを見て、今は株価の上昇トレンドなのか、それとも下落トレンドなのかといった相場の方向感や、急激に売られすぎているとか、逆に急に買われすぎているなどの、割安・割高感を把握することが主要な目的となります。

ファンダメンタルズ分析では長期的には企業の価値通りの株価に近づくと考えられていますが、実際にはファンダメンタルズ分析では説明できない株価の動きをする場合があります。

例えば、決算発表で業績の上方修正が発表される場合、ファンダメンタルズ分析であれば、その情報をもとに投資家が分析をし直すため、株価は決算発表後に上昇するはずです。

しかしながら、現実にはそうした情報が発表される直前から株価が上昇しているということは珍しくありません。

このように、ファンダメンタルズ分析では捉えきることの難しい株の値動きを理解するためにテクニカル分析はしばしば用いられます。

そのため、テクニカル分析は、企業の経済的な価値に注目するファンダメンタルズ分析の弱点を補完する形で併用されることが多い手法でもあります。

■株価は全ての情報が反映され、かつ人の投資パターンは変わらないという前提

このテクニカル分析が有効だとされるのは、将来は過去の繰り返しに過ぎないという前提と、市場で決定される株価は全ての情報や条件を盛り込んだ結果であるという前提があるからです。

株価が急激に下がれば、どんな時代のどんな人でも不安になって株を売る人が出てきます。また、そうした投資家の売りが株価を低下させ、さらに他の人の不安をあおり、また株を売る人が次々と誘発されていくことがよくあります。

これは売りが売りを呼ぶといわれている株式相場ではよく見られる現象です。

しかしながら、そうした不安に駆られた人たちが売りに売ったせいで、株価が大きく下がれば、投資のチャンスだとみなして、その株を購入しようとする人も現れてきます。

そうすると、今度は株価が上昇していくことになります。このように、投資では不安の後に楽観が生じ、また楽観の後に不安が生じるというパターンがあります。

こうした投資家の心理の動きはいつの時代それほど大きく変わるものではないため、過去の株価の動きのパターンをしっかりと把握することで、将来の株価の動きも予測できると考えられています。

こうした過去のパターンを利用して、投資を行うことで利益を出すことがテクニカル分析の最も基本的な考え方となります。

また、株価はファンダメンタルズ分析で考慮するような複雑な要因のすべてを盛り込んだ結果が反映されているという前提もあります。

日々、様々な投資家が企業の分析を行い、株の売買を行っています。そのようなファンダメンタルズ分析を行っている投資家たちの多くがもっと株価が上がる企業だと思えば株を購入する人が増え、株価が上昇し、逆に過大評価されていると判断した投資家が多くなれば、株が売られ、株価が下がることになります。

そのため、株価の動きにはファンダメンタルズ分析で考慮されるような企業に関する全ての情報や条件を織り込んでいると考えられているのです。

また、それゆえに、投資家の間に情報の非対称性が存在しており、自分の知らないような重要な情報をもとに他の投資家が株の売買を行っていたとしても、株価の動きを見て、テクニカル分析を行うことでトレンドの兆候をとらえ、大局的なトレンドをつかむことができます。

実際に、運用会社ではシステムトレードなどと言って、テクニカル分析に基づいた株の売買をコンピューターに自動で行わせたりしており、人が売買の指示を出すよりも高い投資パフォーマンスを挙げているものもあるようです。

■チャートに描かれているのは主に移動平均線とローソク足、出来高の3つ

テクニカル分析は、企業の財務情報などの個々の企業の事情はほとんど無視をして、株価の動きなどを示したチャートをパターンを把握して投資をすることになります。このチャートに描かれる最も基本的なものは、移動平均線と、ローソク足、出来高の3つがあります。

移動平均線とは、一定期間の株価の平均値を描いた折れ線グラフのことを指します。

例えば、3日移動平均線を計算する場合、ある企業の株が1日目は100円、2日目は120円、3日目は140円であれば、3日の平均値は120円となり、その翌日の4日目が160円であれば、過去3日間の平均値は140円(120円、140円、160円の平均)となります。

この平均値をつなぎ合わせて描いたグラフが移動平均線と言われるものになります。例えば、5日移動平均線と25日移動平均線といったように、長期と短期の移動平均線を組み合わせて株価のトレンドを読み取ったりするのに用いられます。

テクニカル分析に用いられるチャートに描かれている2つ目の情報はローソク足です。ローソク足は株価の動きを長方形に表したもので、江戸時代の本間宗久という人が米相場の予測をするために開発したものに由来とも言われています。

ローソク足には、株価が始値よりも終値が高くなったことを示す「陽線」と、逆に株価が始値よりも終値が低くなったことを示す「陰線」、上昇も下落もしなかった「十字足」の3種類あります。一般的には、陽線は白い長方形で描かれ、陰線は黒い長方形で描かれています。

チャートに描かれる3つ目の情報は出来高です。

出来高とは、株式の売買がどれだけ行われたかを表すものです。出来高が多いほど、売買が活発に行われていることを示しており、注目の株であることを示しているともいわれています。

一般的に、株価が大きく動く前やその動き初めの時には出来高が増加する傾向がみられると言われています。もちろん、大きく動くといっても、株価にとって好材料がでて大きく上昇する場合もあれば、悪材料がでて大きく下落する場合もあるので、注意する必要があります。

■初心者にも使いこなせる投資手法

ここまで説明してきたように、テクニカル分析は、チャートに描かれた移動平均線やローソク足、出来高の動きを見ながら、株価のトレンドや割安感などを把握して投資を行う手法のことを指します。

この手法はコンピューターで自動化されて大きな運用益を獲得しているように、有効な投資手法といえるでしょう。また、いくつかのルールを勉強しさえすれば、難しいものではなく、初心者にもとっつきやすい投資手法でもあります。

しかしながら、どんな道具を使うにしてもそのメリットとデメリットについてしっかりと理解していなければ、使いこなすことはできません。

そのため、他のコラム記事でテクニカル分析の主なメリットとデメリットについて分かりやすく解説をしているので、この手法に興味を持たれた投資家の方はぜひそちらのコラム記事も参考にしてみてください。

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