さて株取引を行う上で気になるのが、「どこの証券会社を利用しようか?」ということです。
口座開設を行うのはどこの証券会社も無料ですが、手数料や取引ツール、サービス等で違いがあるため、取引を行っていく上でその差異を知っておく必要があるでしょう。
そこで今回は、証券会社を選ぶポイントについてまとめていきます。
■どういった視点で証券会社を選ぶか?
【1】手数料
株取引を行う上で重要になるのが、取引手数料です。
手数料は誰でも出来る限り低く抑えたいものですが、今回は100万円までの約定代金について、代表的な証券会社の手数料を比較してみました。
(各証券会社とも色々な取引方法・手数料計算方法がありますが、今回は主に1注文の約定代金で比較しています)
(2016年8月5日現在)
データを見ても分かる通り、松井証券が少額投資であれば群を抜いています。
ただそこまで手数料が異なるわけでもないので、他の条件も比較しつつ証券会社を選んでいく必要があるでしょう。
【2】取引ツール
各証券会社が他社と最も差別化を図ろうとしているポイントの1つが、取引ツールではないでしょうか。
日々変わり続ける投資環境において、どういったツールを顧客に出来るかが証券会社にとって今後さらに鍵になってくることは間違いないでしょう。
ここでは、上で挙げた証券会社で使える取引ツールについて、簡単にその差異やメリット等を述べていきます。
【3】各種サービス
また前述したような取引ツールに加え、各証券会社を比較する上で見ていくべきなのが各種サービスの充実度。
中でも、他会社では使えないようなサービスを提供しているところもありますから、自分にあったものを探すといった意味でも多くの証券会社をチェックしておくとよいでしょう。
1.松井証券
取引ツール
松井証券で使える「ネットワークハイスピード」はシンプルな表示ながら、スピード注文、マルチチャート等多くの機能を使える利便性を兼ね揃えています。
他の会社にはあまりない機能として「同一気配約定分析」を使えるという利点があります。
これにより銘柄の売買動向の雰囲気を感じ取ることができ、「買いなのか売りなのか」という判断をより正確にすることが出来ます。
またスマホアプリの「株touch」でも多くの機能を利用することができ、他証券会社のアプリにない特徴としては「ボリンジャーバンドの3σが使える」という点が挙げられます。
ボリンジャーバンドの表示は多くの証券会社が1σ、または2σまでですが、3σまで見られると視野をより広げることが可能になります。
サービス
松井証券では「一日信用取引」というデイトレード(1日で手じまうトレード)で手数料が無料になるサービスを行っています。
手数が増えがちなデイトレードにおいて、手数料が0円になるというのは大きなメリットでしょう。
2.SBI証券
取引ツール
SBI証券の「Hyper SBI」で使える機能として、特筆すべきは夜間取引(PTS)を行える点でしょう。
普通株の取引を行えるのは営業日の9時~11時30分、12時30分~15時ですが、PTSであればその時間外にも通常株式の取引を別市場で行うことが出来ます。
予想外の出来事が起きた際や、急に持ち株を売りたくなった際に売買を行うことが出来るので、リスクを回避しやすくなります。
例えば、2016年4月の夜に起きた熊本地震の際はPTS取引で、直近で意味もなく上がっていた株が売られ、「地盤関連」の株が買われる、といったことが起きました。
LINE上場前に、「LINEの上場決定か」というニュースが夜に報じられると、一気に「LINE関連株」がPTSで買われる、ということもありました。
他にも、チャート画面に色々なテクニカル指標を一気に表示出来たりと、株価分析を行う上で非常に役に立つツールであると言えるでしょう。
サービス
SBI証券はIPOの取り扱いがネット証券で1位。上で書いたようなPTS取引が行えるのも大きな魅力の1つでしょう。
多くの投資信託や海外株式を取引することも可能であり、口座開設をしておいて損はないです。
3.楽天証券
取引ツール
楽天証券のPC用取引ツール「Market Speed」では「ランキング情報」をより深く使うことが出来ます。
他社でも見ることのできる「値上がり率」「値下がり率」といったものに加え、「信用買残減」や「寄前値上がり率」というランキングも見れます。
特に「前場寄前値上がり率」は、その日の市場の動きを占う上で非常に重要な指標であると言えます。
他にもニュースや各会社の四季報を簡単にチェックすることもでき、これ1つで非常に多くの情報をカバーすることが可能です。
サービス
楽天証券の提供するサービス「日経テレコン」では、日本経済新聞の記事を閲覧することが可能。
また他証券に比べ手数料コースが多くあり、自分の取引手法に応じてそのコースを選択することが可能です。
4.マネックス証券
取引ツール
マネックス証券の「マネックストレーダー」では「出来高フィルター」という他証券ではあまり見られない機能を利用することが可能です。
「○○株以上の取引のみを歩み値に表示させる」という設定が可能であり、これによって大口がその銘柄に入っているかどうか、という判断をすることが可能になります。
取引のバリエーションを広げていくうえで重要な機能であると言えるでしょう。
また2016年に8月にリリースされた「トレードステーション」は既存の取引ツールの機能を遥かに凌駕しており、プログラムトレードを行ったり、チャートにより多くの情報を表示したりということが可能になっています。
サービス
マネックス証券で最も注目すべきなのは、上にも書いた新しい取引ツール「トレードステーション」ではないでしょうか。
システムトレードをより身近な存在に感じさせてくれるツールはかなり画期的です。
5.GMOクリック証券
取引ツール
GMOクリック証券の「ス―パーはっちゅう君」では、松井証券と同様「株式同一気配約定情報」を使うことが出来ます。
更に同ツールでは株と先物取引両方を行うことが出来る、というメリットがあります。
サービス
GMOクリック証券では、CFD取引や幅広い商品取引を行うことが可能です。
特に最近値動きが激しい原油や金といった商品を取引することが出来るのは重要なポイントです。
「株価分析ツール」ではグラフで各会社の業績などを見ることができ、初心者の方にもおすすめです。
6.カブドットコム証券
取引ツール
カブドットコム証券のkabuステーションでは、リアルタイム株価予測、トレーリングストップといった機能を利用することが出来ます。
取引の方法が他証券よりも多く、兼業投資家の方にお勧めできる証券会社です。
kabuステ―ションも松井証券の「株touch」と同様、ボリンジャーバンドを3σまで表示すことが可能です。
サービス
カブドットコム証券では多くの特殊注文が可能です。
他の証券会社では意外と取引に不自由を感じることもあるのですが、カブドットコム証券では「W指値」「トレーリングストップ」「時間指定取引」といった他では見られない特殊な売買手法を使うことができるという特徴があります。
7.岡三オンライン証券
取引ツール
何といっても岡三オンラインのツールで特筆すべきなのは、「岡三RSS」が利用可能な点でしょう。
エクセルでプログラムを組むことによってシステムトレードが可能になったり、より多くの情報を早くキャッチすることが出来たりと、投資の幅を拡大することが可能です。
サービス
岡三オンライン証券の「企業分析ナビ」では特定の銘柄について詳しい情報を見ることが出来ます。
企業分析、株価分析を行っていく上で役に立つことは間違いないでしょう。
■まとめ
手数料、取引ツール、各種サービスといった3つの視点から代表的な証券会社を比較してみました。
口座開設を行っていれば、取引ツールやサービスを利用できるところが多いので、自分に合った証券会社を色々探してみるのがよいでしょう。
ところで口座には「特定口座」や「一般口座」というように様々な種類があるのをご存知でしょうか?
自分に合った口座の種類をしっかり選ぶために、次は口座の種類に関する知識も深めていきましょう。
「口座の種類はどう選ぶ?」