■憧れの美しい右肩上がりの資産グラフ・・・実はそんなによくない!
検証に検証を重ねて作ったパーフェクトな資産グラフを描くスーパー戦略!しかし実運用してみたら・・・あれれ、思ったように稼いでくれない、そういうことよくありますよね。
実は検証結果を美しくすればするほど過去相場に依存した成績になり、未来の相場では思ったような成績が出にくい傾向があるのです!
■例:前日比-10%以上下落した銘柄に仕掛ける逆張りでの話
前日比-10%以上下落した銘柄に翌日成行で仕掛けるという売買ルールを作りました。
詳細 | |
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仕掛け | 前日比-10%以上下落した銘柄に翌日成行 |
手仕舞い | 利確:+5%で翌日成行 損切:-5%でで翌日成行 時間切れ:10日保有したら翌日成行 |
こちらを2000年~2007年の8年間でバックテスト検証するとこのような成績になりました。
バックテスト | 取引回数 | 勝率 | 期待値 | 累積損益率 |
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急落逆張り (-10%) 2000年~2007年 |
3,454回 | 60.54% | +2.90% | +10,024.14% |
勝率も期待値も高めで、いい感じです♪
2000年~2008年での日経平均をみてみると、2000年から約3年続いた大きな下げトレンド、そのあとに訪れた大きな上げトレンド、そして2007年中盤からの急落と、相場の酸いも甘いも経験した中での検証結果となります。これならば将来も大きなブレのない成績を叩きだしてくれそうな気がしますね。
しかし、20008年から2016年7月までの検証を行ってみると・・・!!
バックテスト | 取引回数 | 勝率 | 期待値 | 累積損益率 |
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急落逆張り (-10%) 2008年~2016年7月 |
5,719回 | 50.43% | +0.99% | +5,677.75% |
なんと勝率は50%台に、期待値も半分以下になってしまいました。(;´Д`)
さらに検証を行ってみると、この元々の期待値に近い成績を2008年以降の相場でだそうとおもったらより下落した銘柄を狙わないといけなかったことがわかりました。
バックテスト | 取引回数 | 勝率 | 期待値 | 累積損益率 |
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急落逆張り (-20%) 2008年~2016年7月 |
252回 | 50.79% | +2.24% | +565.72% |
なんと-20%も下落した銘柄を狙わないといけなくなっていたのです!それでも勝率は50%ですし、なにより取引回数が非常に少ないため累積損益率は激減。これだけ見ると「使えない」と判断せざるをえないですね。
■検証結果を信じ過ぎない!使えない相場があることも考えて対策を!!
2008年以降の-10%急落狙いは年単位で調査してみると2008年/2011~2013年は期待値があります。なのでまったく使えないわけじゃないんです。ただ使えない相場もあるってことなんですね。
もともと突然の-10%急落後の反発に期待する戦略ですので、急落後も反発せずさらに底抜けする銘柄が多い相場では使えません。ここを忘れてしまって、検証結果がいいから大丈夫と思い込むのが悪なのです。
さらに調子が悪いからといって「カーブフィッティングだぁ、もうだめだぁー!」と闇雲に運用停止、戦略を投げ捨ててしまうのも悪です。
もともとの要因が戦略の中には隠れているはずですので、負けている理由をしっかり分析することが大事です。理由さえ判明すれば対策を打つことができ、より洗練された戦略にパワーアップできます!
今回の戦略については結果を分析したところ調子のいい年は取引回数が多い、つまり急落銘柄が非常に多い時が得意相場であることがわかったので、-10%急落した銘柄数が普段より多い時だけ仕掛けるようにカスタマイズしてみました。
詳細 | |
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仕掛け | 前日比-10%以上下落した銘柄の数が20日(1ヶ月)平均x5倍の数以上あったら 前日比-10%以上下落した銘柄に翌日成行 |
手仕舞い | 利確:+5%で翌日成行 損切:-5%でで翌日成行 時間切れ:10日保有したら翌日成行 |
急落逆張り
(-10%)
2008年~2016年7月
改造後2,089回59.89%+2.33%+4,870.14%
バックテスト | 取引回数 | 勝率 | 期待値 | 累積損益率 |
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急落逆張り (-10%) 2008年~2016年7月 改造前 |
5,719回 | 50.43% | +0.99% | +5,677.75% |
検証しただけで完成する戦略はありません。実運用と分析とカスタマイズを繰り返して、実際に使える売買ルールへ昇華させましょう。