ボリンジャーバンドは、移動平均線と標準偏差を用いたトレンド系指標です。
考案者=ジョン・ボリンジャー氏
標準偏差は統計学で使われるものであり、平均からどの程度ばらつきがあるか分布を表します。
【標準偏差の求め方】
サンプルデータ→”10″,”20″,”30″,”40″,”50″
1.サンプルデータの平均を算出します。
例.
平均=サンプルデータの合計÷サンプルデータ数
平均=(10+20+30+40+50)÷5=30
2.各サンプルデータと平均との差を算出します。
例.
10-30,20-30,30-30,40-30,50-30
“-20″,”-10″,”0″,”10″,”20″
3.平均との差を2乗します。
例.
(-20)×(-20),(-10)×(-10),0×0,10×10,20×20
“400”,”100″,”0″,”100″,”400″
4.平均との差の2乗を合計します。
例.
400+100+0+100+400=1000
5.平均との差の2乗の合計をサンプルデータ数で割ります。
例.
1000÷5=200
6.手順5で算出した値をルートでくくった物が標準偏差となります。
例.
√200=14.1
標準偏差=14.1
ボリンジャーバンドはこの標準偏差を用いて、株価がどの範囲に収まるのかチャートにラインを引いていきます。
ボリンジャーバンドの作成方法
集計期間のそれぞれの終値から集計期間の平均値を引き、それぞれ2乗します。集計期間分を合計し集計期間で割りましたら、平方根をとって完成です。
平方根の値をσ(シグマ)を用いて表します。
±1σの範囲に収まる確率は68.3%
±2σの範囲に収まる確率は95.5%
±3σの範囲に収まる確率は99.7%
データがそれぞれのσの範囲に収まる確率は上記のようになっています。
±3σの範囲にはほとんどのデータが含まれることから株価もこの範囲に収まると考えます。
ボリンジャーバンドの描き方
続いてボリンジャーバンドの描き方を解説していきます。
上図は先程の計算例の1月5日の株価をボリンジャーバンドにしたものです。
この日の終値は140円ですから株価は+2σの範囲に収まったことがわかります。
もしこの日の終値が145円となった場合、+2σをはみ出したことになり4.5%の事象が発生したということになります。
ボリンジャーバンドが描けましたら、統計的にみて株価がどの範囲・位置に存在するか把握し、売買の判断をくだしていきます。
売買の判断方法
ボリンジャーバンドは株価がバンド内(σ,2σ,3σ)に収まるものという考えのもと売買の判断を行います。
ですから株価がバンド外に逸脱した場合、トレンドに逆らった注文を入れていくことになります。
それ故ボリンジャーバンドは逆張りの投資によく使われます。
例えば+3σを逸脱して株価が上昇したら”売り”、-3σを逸脱して株価が下落したら”買い”という具合です。
ここで実際のチャートを見てみましょう。
上図は「(7203)トヨタ自動車」の日足チャートです。
これは逆張りを用いた”買い”のパターンになります。
まず1つ目の逸脱ポイントですが-3σを逸脱した後、株価はすぐに上昇しています。
このタイミングで注目すべきところはバンドの範囲が狭いままであることです。
バンドの範囲が狭いままであるということはトレンドが弱いと考えられます。
明確な下降トレンド入りでないのに株価が突如安くなったわけですから、当然買いも入り株価は反転上昇します。
続いて2,3,4つ目の逸脱ポイントですが、先程の1つ目の逸脱ポイントのように株価が-3σを逸脱した点は同じですが、今回はバンドの範囲が広がっているところに注目です。
バンドの範囲が広がっているということはトレンドが強いと考えられます。
今回は下降トレンドに勢いが出ていますので連続して-3σを逸脱したと推測できます。
しかし-3σを逸脱する確率はわずか0.3%しかありませんので逸脱したままで株価が推移することはまずないでしょう。
4つ目の逸脱ポイント以降は株価は反転上昇しています。
ボリンジャーバンドは通常逆張りに使用するのですが、トレンドが強い状況では順張りとして使用した方がよさそうです。
なおバンドの範囲が広がっている最中は株価のボラティリティも上がりますので取引のリスクも高くなる点に注意が必要です。
そのためにもロットを落として相場に臨むなどリスク管理は徹底したいものです。